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Vol.60 Toshi & 川村ケン WEBインタビュー

TAKURO初のソロアルバム『Journey without a map』(※1)を携え、2月2日(木)からいよいよ全国ツアーがスタートする。GLAYのサポートドラム・Toshi Nagai(※2)、ピアノ・川村ケン(※3)、20代の若き新メンバーであるベース・岩永真奈(※4)、サックス・前田サラ(※5)という布陣で9か所15公演を巡る、地図なき旅。アルバム制作に先立つデモ音源制作に携わり、2016年に開催されたソロツアーのメンバーでもあったToshi、川村の両氏に今回のツアーの見どころを尋ねた。

2017.2.2

お2人は、『Journey without a map』のデモ制作の段階から深く関わっていらっしゃって、2016年のソロツアーメンバーでもありました。デモ制作のお話から今回のツアーに至るまで、経緯やお気持ちを伺いたいと思っております。

川村
ロスでのアルバム・レコーディング前にあった初期アレンジの段階から、Toshiさんにたくさんアイディアを出していただいて、コード面は僕がTAKUROさんと「こんなのどうかな?」といろいろ相談をしながら、デモ音源はつくっていきました。今回のアルバムにも入っている「Autumn Rain」※6などは前回のソロツアー中にできた曲ですし。
Toshi
「Lullaby」(※6)も東京公演のステージ上でつくったよね。
川村
そうそう。アンコールで「ちょっと曲つくりたいから」と言ってつくり始めて。「ケンさんコードやって。じゃあ永井さん、リズムつけて」とTAKUROさんがおっしゃって、ワンコーラスできてすぐ、15分後ぐらいにはお客さんの前で演奏しましたもんね。それがジャズやブルースのフォーマットでやることの面白さでもあります。その場のフィーリングで他のミュージシャンのアイディアを「あ、それいい!」とパッ!と受け取るのは反射神経が要ることなんですが、TAKUROさんはその判断が速く、すごく能力が高い人です。

ToshiさんはGLAYで長くご一緒されていますが、今回の現場でTAKUROさんの判断の速さを特に感じられますか?

Toshi
そうですね。ちょうど1年前、ジャズとかブルースとか、そういうインストの音楽をやると聴いた時に、「どんな感じになるのかな?」と思っていたんです。歌モノなら、ポップス、パンク、ファンクとかジャンルがあるので、ある程度分かるじゃないですか? でも、インストというのはやっぱり、限りなく何でもアリだし、ジャズは特にそうなので。だから、どういうふうになっていくのか、最初僕は分からなくて。TAKUROくんの世界をより引き出すために世界観をつくっていこうとしていろいろと提示して、それをTAKUROくんが一つずつ選びながら、ジャッジしてできあがった、と思いますね。そうやってできたデモをロスに持って行って、松本孝弘(B’z)さん(※7)のプロデュースですごく洗練されて帰って来たので、前回のライヴと今回とは、また違う感じはしますね。

どういう違いがありそうですか?

Toshi
前回は、インストライヴを初めてTAKUROくんがやるということで、オリジナルとなる楽曲はあったものの、やっぱりセッションモードのほうが高くて。ゲストの方がたくさん入れ代わり立ち代わり来られたというのもあったし。でも今回はちゃんとしたアルバムという作品があった上でのライヴになるので、それに忠実に……というわけではないですけど、崩し過ぎず良さをちゃんと再現しないと、アルバムのツアーにならないので。そのあたりは前回とはちょっとモードは違うかもしれない。もちろん、いい意味でね。
川村
とはいえ、やっぱりアドリブ・パートとか、メンバー皆の遊びもいっぱいありますよね。
Toshi
それはもちろん、そうですね。
川村
いわゆるポップスの、CDを再現するような「同じ歌詞を同じように毎回歌ってほしい」というものとはちょっと違うので、ギターのメロディーだけでも毎回、溜め方やニュアンスなど、弾き方がきっと違うでしょうし。もちろん「ここはこうする」というポイントはありつつ、僕らのプレイもその場のノリを大切にしながら、「あ、永井さんがそこ来るんだったら、こうかな?」とか、「TAKUROさん、そこにフレーズ入れて来たか。じゃあこうしよう」となるでしょうし。その反応は永井さんもすごく速いですし、僕も気を付けて他のプレイヤーの音を聴いているので、そのミュージシャン同士の“インタープレイ”(※8)を聴いてほしいですね。インタープレイというのは、実はジャズの中でも実はそんなに古くからはなくて、1940年代以降、ジャズ中期にできたスタイルなんです。
Toshi
盛んになったのはモダンになってからですね。
川村
そうですね。ビル・エヴァンス(※9)という人が出て来て初めて、皆で“おしゃべり”し合うみたいなジャズになったんです。それ以前は、管楽器がメロディーを弾き、ピアノ、ドラム、ベース、ギターはリズムセクションと呼ばれていて、基本的に大人しくバッキングに徹するものだった。でも、それじゃ面白くないからみんなでもっともっとおしゃべりしようぜ!ということで、火花を散らすようになっていったんです。
Toshi
だから、去年のライヴはすごくモダン・ジャズ的でしたね(笑)。
川村
そうでした(笑)。もう、おしゃべりしまくり、というね。
Toshi
オリジナルにしてもカバーにしても、このメンバーで、とにかくTAKUROくんはギター1本で、ヴォーカリストのいない状態で、ジャズという遊び道具を使って曲を模索して、「こうしたらどうなるんだろう?」というのを、前回はすごく実験的にやった感じがするんですよね。お手本とするCDがないので0点でも120点でも良かったんだけど、今回はオリジナルアルバムを出した後なので、その作品が絶対にアベレージとしてある、と思うんですよね。かつ、それ以上のところで遊ぶ。そういうことやろうと思っていて。
川村
うん。
Toshi
そこが前回と違う。自分たちをより高めていかなければいけないし、この楽曲をCDではなく生で聴いた時ならではの面白さを出していかないといけないのでね。
川村
でも、TAKUROさんと録ったデモをロスに持って行って、あちらのミュージシャンと松本さんとで練っていただいて帰って来た作品を聴くと、アレンジやコード進行なんかは僕らがつくった元から、アイディアを振り掛けしていただき更にプレイが素晴らしくなっていて。
Toshi
うん、クオリティーがすごく上がった形になって。
川村
だから、僕らのアイディアを松本さんもすごく尊重してくださっているんですよ。松本さんのOKラインをちゃんとクリアしてたんだな、と思うとうれしいです。実は今回、すごくドキドキしながらアルバムを聴いたんですよ。自分の関わった曲はやはり子どものようなものですから、「どれだけ“別人”のようになって帰ってくるのかしら?」と思ったら、そのままで、かつ綺麗になっていて。
Toshi
松本さんのソロ(の音楽性)は全く違うものなので、その方向性には寄せたものにはなっていなかったですしね。そこはきっと、TAKUROくんのソロについて、そしてアーティストとしてのTAKUROくんについての理解の仕方が、松本さんと僕とケンさんとで一致していたんじゃないかな?と思うんですよ。「こういうのがTAKUROくんなんだ」という像が。
川村
思い起こせば、僕は「Eternally」(※10)というCDで初めてGLAYの作品に参加させていただいて、その後さいたまスーパーアリーナにライヴを観に行かせていただいたんですね。その後TAKUROさんに面会をしたら、「最近ちょっとジャズを勉強してるんですよね」なんてTAKUROさんがおっしゃって。「それはなぜにです?」と聞いたら、「GLAYの曲をもっと余裕を持ってプレイをしたいと思うんですよ」と。「ジャズって、一小節にコードが4つとか変わって、すごく忙しいじゃないですか? あれがパッパッパッとできるようになったら、きっとGLAYにおける僕のプレイがもっと良くなると思うんですよね」とおっしゃった。僕もちょうどジャズを勉強していたので、「いつか機会があったら、練習がてらジャズでもやりましょうか?」なんて、楽屋で話していたのを覚えてるんです。その次に、TAKUROさんの“MOBILE MEETING”(※11)で、TOKIさん(※12)を迎えて函館でアコースティック・ライヴをする時に僕も呼んでいただいたんですけど、そこで2~3曲ジャズをやりませんか?というアイディアが出て来て。そこには「Round Midnight」(セロニアス・モンク)(※13)とかも入っていて、僕は大好きなんですが、かなりの難曲なんですね。リハを2人だけでドキドキしながらもやり、ステージではいい白熱具合になったんです。終わった後にTAKUROさんがぼそっと、「なんか、いいな。ケンさんとブレイクする時の感じとか、僕すごい合うと思うんですよね」と言ってくださって。だけど、こちらはまだ大スターTAKUROさんとセッションさせていただいたことにドキドキしていて……(笑)。でも、後で録音を聴いてみたら、そこにはたしかにいいグルーヴがあったので、TAKUROさんにメールして「すごく良いので、例えば“TAKUROアコースティック・バンド”とかをつくって、それはそれでやられたらいいんじゃないですか?」と伝えたんです。そうしたら、パタッと返信がなくなったんですよ(笑)。
Toshi
ははは!
川村
その半年後に「ケンさん、来年(2016年)GLAYのツアーと並行してちゃんとソロをやりたいんで、協力してくれませんか?」というメールが来て。今度はちゃんとToshiさんと一緒に、リズムを入れてやりたい、という話があったんですよ。
Toshi
なるほどね。
川村
だから、今このメンバーが集まってる理由は、3年前のあのやり取りがきっかけになってるのかな?なんて思うところがあります。

ToshiさんはToshiさんで、TAKUROさんと時折ジャズセッションをなさっていましたよね?

Toshi
うん、結構前からやってますね。最初は、まだ人様にお金をいただくようなものではないということで、誕生日パーティーとかの機会に人を呼んだ時、おもてなしプラス演奏する、という形で、4、5年前ぐらいからやってたんじゃないですかね?
 
川村
じゃあ、それがちょうどTAKUROさんが「ジャズを勉強してるんだ」なんておっしゃっていた頃だったんですね。
Toshi
TAKUROくんはGLAYのツアー中も楽屋でジャズの練習をしていましたから。「やるなら本物のジャズメンとやったほうがいい」と僕は言って、メンバーを紹介しました。その後どうなるんだろうな?と思っていたら、ジャズをやるっていうよりもソロプロジェクトをやる、というほうに行ったのは、僕としてはすごく面白いな、と思ったんです。もろジャズというのでもなく、ソロの音楽には、やっぱりTAKUROくんの持っている世界観がGLAYと同じように出ている感じがして。そういう意味では、このソロのプロジェクトの世界は、GLAYの裏面というか、もう一つの違った形、みたいな感じがするんですよ。GLAYにはもちろん4人の世界があるんですけど、そこで中心になって曲を書いて来たTAKUROくんの世界が反映されてると思うので、例えば「函館日和」(※6)のメロディーなんかは特にそうだけど、今回のアルバムの曲も、GLAYファンの人たちには自然にメロディーが身体に入ってくると思いますね。

ヴォーカルはないものの、TAKUROさんらしいエモーショナルな“歌”を感じるメロディーではありますもんね。

Toshi
そうですよね。速弾きとかではなく、メロウで、メロディーラインがしっかりしていますね。なおかつ、GLAYではない今回のメンバーで、インストとかジャズという括りの中で、先ほど話に出たインタープレイもあって、楽しく音で遊んでいる。聴く側の方たちも、TAKUROくんの心地よいメロディーと、「それがアレンジでこういう音楽になっていくんだ」というプロセスをライヴでは垣間見られるんじゃないかな?と思います。
川村
僕は最初、TAKUROさんが「ロスに持って行ってこれを録るんですよ」とおっしゃった時に、きっとビッグバンド風にもっといっぱい管楽器などを入れて、そのうえでギターソロを弾くんだろうな、というイメージを持っていたんです。それが、TAKUROさんに聞いたら「いや、全然そんなことしないです」と。ギターソロのバッキングとして別のギターは入っていないし、ピアノとドラムと、ホーンとサックス1本ぐらいだけの少ない音数で、「むき身でやる」という言い方をされて。それは誤魔化しも何もない“勝負”なんですよね。自分の力が強くないと、ちょっとでもズレたら全体がズレちゃう。ものすごいチャレンジ精神だな、と思いました。「いきなりそこまで行くんだ!」と驚いたんです。
Toshi
ははは。
川村
もっとラクしようと思えばいくらでもできるはずなのに。ブライアン・セッツァーオーケストラのように30人ぐらいのゴージャスな編成にして、ところどころ皆に任せて、あとはバッキングをして、というのでお客さんも充分満足すると思うんです。でもそういう形じゃなくて、TAKUROさんは常に一番前に立ってずっとギターに責任を持って、最後まで自分が頑張る、という。そのスピリットがすごいですよね。

それでいて、とっても楽しそうに弾いていらっしゃるように感じます。

川村
そうそう、だから懐が深いんですよね。
Toshi
初日のリハからTAKUROくんは「楽しい!」と言っていましたね。
川村
(前回のツアーでも)いつも「楽し~、楽し~!」とおっしゃっていましたもんね(笑)。僕らも、TAKUROさんのつくるムードや言葉によって、「そう言ってくれるなら、もっとやっちゃおうかな?」という気持ちになるんです。人をノセるのがすごく上手いですよね。

今回のツアーに向けたリハーサルは、3日目にして通しリハーサルが可能なほど仕上がりが早かったそうですね。レコメンドの岩永真奈さん(Ba)、前田サラさん(Sax)が新メンバーとして加わっていますが、早くも呼吸ピッタリ、ということでしょうか?

Toshi
新しいメンバーの2人がちゃんと前もって曲を聴いていて、曲の理解度がすごく高いので、最初から完璧にできたんですよね。「じゃあ、流れを見ようか?」ということですぐ通しリハーサルに行けたんです。
川村
リハがスタートする4、5日前に皆でご飯を食べに行った時、岩永真奈ちゃんが、「もう私、全部覚えたので譜面台要りませんから」と言ったのを聞いて、こっちが「マジか!?」と焦る、みたいな(笑)。「えっ、本当に?」と言ったら、TAKUROさんがそんな僕を見て「ケンさん、覚えてないんですか?」と(笑)。「いやいや、僕は譜面で宝探しをしてるんだ」とお答えしましたけれども。僕らの譜面には、音符はなくてコードしか書いてないんですね。その和音をどう分解するか?というのがジャズなので、譜面を自分で解釈するんです。目の前に譜面を置いておくと、そこから「あ、じゃあこのコードだったらこうしよう」と、いろんな迷路や出口が見えて来るので好きなんですけど。真奈ちゃんの男気溢れる「私、譜面台要りませんから」という言葉は、カッコいいな、と思いました。
Toshi
ツアー中にまたどんどん変わっていくと思うんですけど、世代も違うし性別も違うし、新メンバー2人ともすごい音楽性を持っているので、面白いですね。GLAYのTAKUROくんがソロを出して、それがインストで、こういう感じの曲で……というのが社会にどう見えていくんだろう?ということを、僕は去年ツアーを回っている時にもずっと考えていたんです。今回、新メンバーの2人のような若い世代の子たちと一緒にやることで、GLAYのファンではない人たちにもすごく伝わっていくものがあるんじゃないかな?という想いが一つ、ありました。あとは、あの2人はジャズとかインストの曲をバンバンやっている若い世代の代表的な存在なので、その子たちがこのGLAYという、もうレジェンドの域にあるバンドのTAKUROくんのソロに参加するということも、日本のこの音楽状況の中ですごく面白い現象を巻き起こすんじゃないかな?って。

そこで世代やジャンルを超えて混ざり合うのは、とても有意義ですよね。

Toshi
そうそう。あの子たちの周りにはGLAYを知らない子たちもいるかもしれないですし、僕らは逆にあちらの世界を知らないので、そこが入り乱れて、新たな核になると面白いな、と思って。2人とも見どころ、聴きどころがたくさんある子たちので、楽しみに来てもらえるといいな、と思います。
川村
彼女たちはこれまであまりロック畑の人と密にやってないから、それもきっとおもしろいですし、「インスト・ツアーとしては日本最大級じゃないでしょうか?」とサラちゃんが言っていました。ジャズ畑からするとZEPP TOKYO規模での公演は、今の日本ではあまりないんですよ。
Toshi
そういう意味でも、GLAYがあるから……という言い方は変ですけど、テレビ番組での宣伝があったり、タイアップもあったりするのはいいことだと思う。インストのジャズが売れている時代もかつてはあったんですけど、今は特になくなって来ているので。その土壌を盛り上げるためにも、TAKUROくんのような人が率先してやるのはすごくいいことだと思うんですよね。インストで日本武道館公演だとか、松本さんはやっていますけど、ああいうのを日本でガンガンやれたら素晴らしいですよね。TAKUROくんはできると思うし。そうしたら真奈ちゃん、サラちゃんの世代が夢を見られるじゃないですか? ソロでも、インストでも行ける!みたいな。そういう部分でも、TAKUROくんはこのアルバムで日本の音楽業界に対して投げ掛けているものがあると思いますね。
川村
最近『ヒットの崩壊』(※14)という面白い本を読んで、そこにも書かれていたんですけど、今コンピューターや動画サイトで音源はコピーできてしまう中、「体験はコピーできない」というのが肝なんですよね。動画サイトでは365日同じ音って聴けてしまうし、それはそれで悪くないんですけど、ライヴは違う。つまりライヴ体験はコピーできないわけですよ。ということは、今回の1本1本のライヴは、そこにいた人しか味わえない。TAKUROさんも僕たちも今日と明日で違うプレイをするし、絶対に同じ質感ではないんですよね。

再現不可能なんですね。

川村
そうです。僕らにとっても、「じゃあ同じことやってみ?」って言われても、絶対できないわけですよ。
Toshi
こういう音楽は特にそうですね。
川村
そう、シーケンス(※15)も回ってないし、完全に生身ですから。
Toshi
だから、全公演観に来ても、飽きない(笑)。
川村
絶対、本当にその体験はコピーできないので。
Toshi
それが楽しいんですよねぇ。
川村
その文化は絶対つくっていかないといけないな、と思います。元来は、ライヴで育てた楽曲をレコーディングする、という流れだったはずが今の時代は違ってきていますが、今回のアルバムは完全にそうですもんね。
Toshi
去年つくった曲をライヴでいろいろと試行錯誤してまとめて、デモを録ってレコーディング、という流れですもんね。
川村
これが昔ながらというか、正しい流れだったんだと思います。やっぱり無理がないですよね。

TAKUROさんがヴィンテージのレスポール(※16)3本をライヴでも弾かれるそうで、そちらにも期待が高まります。

Toshi
すごいですよね。ギターマニアの方は、その音を聴きに来るだけでもいいんじゃないですか? 見れるだけでもすごい。
川村
レスポールを崇めに(笑)。値段を聞いて僕はビックリしたわけですよ。それをTAKUROさんは「持ってくる」とおっしゃるので、「いやいや、そんな……」と言ったら、「だって、ギターですもん。使わなきゃかわいそうでしょ? 弾いてあげなきゃ。ギターだって鳴りたがってますからね」って。
Toshi
そこも聴きどころ、見どころですよ。
川村
やっぱり、音がいい! 単なるブランドじゃないんですよ。柔らかく弾いても脳天に突き刺さるような、聴いたことのない音がします。TAKUROさんが今回のリハで、パッと弾いてみて、「うーん、これ違うな。55年のやつ持ってきて」と指示をされていて。完全にワインを飲んでいるセレブにしか見えませんでした(笑)。
Toshi
「この曲には○年のギターがいい」とかアドバイスするギターソムリエを呼んでこないと(笑)。
川村
(笑)。贅沢だけどカッコいいですよね。ギタリストというのはそうやって、自分の求める、聞こえて来てるサウンドがあるんでしょうね。弾きながら、「違うなぁ」とか、ギターを変えたら「あ、これこれ。きたきた!」とか。そうやってニヤりとするTAKUROさんの顔も見に来ていただきたいですね。

川村さんは、リハでは最初はデジタルピアノを使われて、最後は本番同様のグランドピアノで仕上げるそうですね。

川村
はい、やっぱりグランドに慣れておかないといけないので。グランドというのは、1秒ごとに音が変わっていくんです。ギターとかと違ってライヴ中に調律するのは基本的に不可能な楽器ですので、冒頭と終わりでは音が違う。1曲ごと、もっと言えば1秒ごとに必ずどんどん音が変わっていくのもまた味わいであり、それもまた音楽なんですよ。そもそも僕たちだって1秒ごとに老けてるわけじゃないですか?

細胞が入れ替わっていますからね。

川村
ライヴ始まった瞬間と終わりだと、僕は2時間老けてるし、TAKUROさんも2時間老けてるわけですよ。
Toshi
ヴィンテージギターも、もっとヴィンテージになってる。
川村
そうそう(笑)。全員で2時間の老けを楽しみましょう!
Toshi
お客さんも含めて? ははは。
川村
全員でちょっとずつ熟成されてヴィンテージ化していく自分たちを楽しもうじゃないですか!
Toshi
(笑)。でもその逆の話で、グランドピアノやドラムなどの生音、ギターは電気を通しているけどハコ(ボディー)そのものが鳴っているわけじゃないですか? そういう生音の波動は肌にいいらしいですよ。アンチエイジング効果がある(笑)。普通のスピーカーで鳴らすと聞こえない音域なんですけど、波動として生で体で浴びると、森林浴しているみたいな効果があって。葉っぱの擦れる高音域を聴くように、それだけで脳が活性化するらしいんです。
川村
なるほど。(CMのキャッチコピーを読み上げるような口調で)「美容と健康にいいJourney without a map」(笑)。例えば「函館日和」は、TAKUROさんが故郷・函館をイメージして、函館の景色が見えるような……という感じで弾くわけじゃないですか? 「Autumn Rain」にしても去年のツアー中に京都でつくられたものですけど、京都の街並みや和の雰囲気が浮かんで来るような曲になっている。音楽で景色を見せている、というか、そういったネイチャーなものに近付けようとしてる部分は、むしろあるかもしれないですね。
Toshi
癒し効果が強いかもね。音を浴びて体感して、景色を思い浮かべる……すごいライヴですね(笑)。

今回のアルバムを聴いていると、密室から広い場所に連れ出されたような心地がする音楽だと感じます。同時に、そこで味わう気持ち良さや懐かしさ、といった感情が、歌も歌詞もないのに伝わってくるんです。

川村
広いところに連れていかれた、というのはまさに、Journey without a map、地図がない旅に出た感覚ですよね。道が決まってない。歌モノのロックやポップスと違って、今回のライヴは始まった瞬間、演者の僕らですら、広場にパッと出たようにどこへ行くか確実には分かっていないんです。でも、分からなくていいじゃないですか? 北海道の大草原へ行って「あそこへ行って帰って来る」なんていう“直線”の旅をしたって面白くないですからね。行ってみて好きに遊ぼうよ、ここでゆっくりしようよ、寝ちゃったら寝ちゃったでいいじゃない?という旅を、お客さんと一緒になってするんです。TAKUROさんが優しく手を引っ張ってくれますし、僕らもそっと手を添えますので、どこへ行くか分からないんだな、ということを楽しんでいただきたいですね。
Toshi
それぞれでいいですからね。歌詞という指定がないわけだから。小さい頃の思い出はそれぞれ違うわけですし、それぞれの自分の世界にスパッと入って行ける、というのがいい。
川村
そう。懐かしいおばあちゃんを思い出したっていいですしね。あと、ジャズは元々酒場で生まれた音楽だというのもあって、各人のソロがあった時などに、そのプレイが良ければその瞬間、たとえ曲中でもワーッ!と拍手が起きたり指笛を鳴らしたりたりするんですよ。日本のロックやポップスのライヴではあまりないと思うんですけど。
Toshi
逆に、プレイする側もそれでまた燃えるんですよね。
川村
そうそう。だからお客さんは自由に音に反応して、むしろ一緒になってつくってほしいですね。皆でつくるライヴですので。
Toshi
自由に声を出してね。お客さんもそっちのほうが絶対楽しいはずです。
川村
うん、もちろん良くなかったらブーブー!と言っていただいてもいいんですけど(笑)。良ければ「Yeah!」と大きな声を出してもらって、曲によっては手拍子だって大歓迎ですし。ご自由に楽しんでください!
※1:「Journey without a map」
2016年12月14日(水)に発売となったTAKUROソロ1stインストアルバム。
B'zの松本孝弘氏をプロデューサーに迎え入れ、ロサンゼルス在住のTOPミュージシャンとレコーディングを敢行した意欲作。
TAKURO所有の3台のビンテージレスポールを使用した深みのあるギターサウンドに、ジャズ、ブルースを基調とした音作りで、1音1音こだわり抜いて制作された。GLAYとは一線を画す、ギタリストTAKUROとしての魅力が詰まった珠玉の1枚
※2:Toshi Nagai
1964年6月7日生 宮崎県出身
6歳の頃、兄の影響でドラムに興味を持ち、叩き始める。高校卒業後18歳で上京、1983年 武田鉄矢のバックドラマーとして19歳でプロデビュー。
主にGLAYや氷室京介のサポートドラマーとして活動。その他に、音楽スクール等でドラムクリニックを行っている。
過去氷室京介、GLAYの他にちわきまゆみ、CHAGE and ASKA、少年隊、東京少年、西城秀樹、笹野みちる、GAO、永井真理子、高橋ひろ、BREAKERZ、EXILE TAKAHIROのサポートなども努めた。特技はマジック。好きなものはスヌーピー。
※3:川村ケン
1968年11月25日生 東京都出身
182㎝、67kg AB型。ピアニスト、キーボーディスト、コンポーザー、アレンジャー。23歳でSHADY DOLLSでデビュー。
以降、安全地帯、玉置浩二、安室奈美恵、絢香、GLAY、ゆず、KEIKO(globe)、清木場俊介(exEXILE)、KinKiKids、椎名へきる、宇都宮隆、ZIGGY、ダイヤモンド☆ユカイ、高橋克典、他多数のアーティストのツアー、レコーディングに参加。東京音楽大学ソングライティングコース客員教授(2017年4月より)、洗足学園音楽大学非常勤講師兼アカデミックアドバイザー、日本工学院八王子専門学校ミュージックカレッジ非常勤講師。
著書「思いどおりに作曲ができる本(リットーミュージック)」はベストセラー理論書となり現在七刷。プライベートレッスン「緑ちゃん倶楽部」主催
※4:岩永真奈
1989年12月23日生まれ。
清竜人、清竜人25、ももいろクローバーZ、FIRE HORNS、楠田亜衣奈、40mP、杏子、Aice5、Sword Of The Far East、サムライロックオーケストラ、ミュージカルバイオハザードなどのライブ、ミュージカル、レコーディングに多数参加。
ベースマガジンにて随時連載や特集を担当。教則DVD「ゼッタイ弾ける!ベースラインフレーズ集」を出版。
宮藤官九郎監督「Too Young To Die!?若くして死ぬ?」にてベース邪子への指導、演奏にて参加。
※5:前田サラ
ゴスペルをルーツに持つサックス奏者。
2015年にビクターからデビューソロアルバム「From My Soul」をリリース。
自身率いる前田サラBANDの他、the day<仲井戸麗市 ,中村達也 ,KenKen ,蔦谷好位置>、ドラマー山口美代子率いる女性インストファンクバンドBimBamBoom、ギタリスト竹内朋康主催のMagic Numberなど、幅広く活動中。
※6:「Autumn Rain」「Lullaby」「函館日和」
「Journey without a map」の収録曲。
※7:松本孝弘(B’z)
B’zのギタリスト。また数々のアーティストのプロデュースを手掛ける音楽プロヂューサーとしても活動。
B’zとしてはデビュー以降多数のヒット作を輩出し、シングル連続初登場首位獲得数やアーティスト・トータル・セールスを始めとする日本音楽界における数多くの記録を樹立している。
※8:インタープレイ
相手の音に反応し合い、それによって個々を高めあい、全体を活性化させる音楽的会話。
※9:ビル・エヴァンス
アメリカのジャズ・ピアニスト。
モダン・ジャズを代表するピアニストとして多くのピアニストたちに多大な影響を与える。
※10:「Eternally」
G2013年5月8日より配信開始となったデジタルシングル。
「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」のテーマソング。
※11:MOBILE MEETING
GLAY MOBILEにて毎週日曜 23:50より配信しているTAKUROのWEB RADIO。
放送日/毎週日曜 23:50~毎週月曜 11:00・リピート放送 毎週月曜 18:00~24:00
※12:TOKI
1992年Kill=slayd結成。1997年にメジャーデビューするも、翌98年に解散。
2002年9月、TAKURO(GLAY) が作曲を担当した「灼熱」でデビューしたSTEALTH として復帰するが、その活動はごく短期間で終了。
2007年には再びC4を率いて1000名を超えるオーディエンスの前でミュージックシーンに復帰。
圧倒的な存在感を放ち、言っている事とやっている事を歌詩とリンクさせる事を信条としている独自の深みのあるリアルな歌詩はC4、STEALTHでも多くの支持を得ている。
※13:「Round Midnight」(セロニアス・モンク)
1944年に発表されたピアニストのセロニアス・モンクの楽曲。
※14:『ヒットの崩壊』
2016/11/16に講談社より発売された柴 那典 氏の著書。
※15:シーケンス
同形のまま反復されるプログラミングされたフレーズ。
※16:レスポール
ギブソン社より発売されているエレクトリックギター。

インタビュー:大前多恵

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