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INTERVIEW

Vol.50 TERU WEBインタビュー

20周年イヤー無事終了! 東京ドーム公演を終えたTERUの最新インタビューをお届けします。

2015.06.30

東京ドームが終わって、2週間以上経ちましたが、終わった後はどんな気持ちでしたか? そして、思い出して最初に浮かぶ景色は?

TERU
あ~、やっと終わった!っていう感じですが、すぐに次へと気持ちは向かってますね。曲作りも始めていますし。ドームで一番最初に思い浮かぶのはYOSHIKI(X JAPAN)さんとの共演。僕らにとってはデビューのきっかけを作ってくれた恩師であったけど、みんなにも喜んでもらえたんだなぁと。あの割れんばかりの歓声が今でも耳に残ってますね。YOSHIKIさんは恩師的な存在であり、20年間支えてくれた人であり…一緒に時間を共有した事は少なかったとしても今ミュージシャンとして分かり合えるところがあって。YOSHIKIさんもまた一緒にステージに、って言ってくれたけど、そういうことを気楽に話せるようになったのも含めて同じステージに立てた喜びは大きかったですね。

YOSHIKIさんの言葉も感動的でしたね。

TERU
ファンの子とスタッフのみんながGLAYを支えてくれた、っていうね。あと、GLAYのことをうらやましい、後輩だけど先輩みたいなバンド、とか言ってくれたけど、仲良さそうにやっている4人を見ていてX-JAPANと重なるところがあったのかもしれないですね。だから、俺たちは、長く続ける美学をGLAYなりに追求していけたらなと思います。YOSHIKIさんもそう言ってくれるってことは、いろんな若いバンドの子たちも自分たちの姿を見てくれているのかな。続けていくことでどういう景色を見れるんだろう? バンドってどういう可能性があるんだろう? 10年経っても東京ドームを満杯にできるバンドがいた、っていうね。そこからまた10年後、54歳になった自分が東京ドーム2 DAYSをまた満杯にできていたらカッコいいバンドであると思うし。そこは目指していきたいですね。

10年前はたまたま「戻ってきます」と言ってしまいましたが(笑)。

TERU
そうだね(笑)。あの時はその10年間の重みが想像できずに口走ってしまったけど、今となってはあの一言があって良かったなと。バンド活動にもハリが出たし、目標もできたから。そして10年経って東京ドームに立った瞬間に、ファンの子たちとGLAYの間に、言葉はなくても意思疎通ができたような気がします。

これまでにも東京ドームでライブをやろうと思えばできたでしょうし、ドームでライブをやっているアーティストは他にもいるけれど、GLAYはこのタイミングで東京ドームをやること、戻ってくることに意味があった…ストーリーがあるんですよね。

TERU
GLAYってストーリー作るの上手だね!(笑) 函館出身の4人がバンド活動してデビューしていろいろなことがあって…東京ドームへ…。7月には函館アリーナのこけら落としライブがあるけど、また、そこでもストーリーができてくるんじゃないかな。

では、観ていた側からの忘れられない光景として、オープニングの気球と白いジャケット(※1)のシーンのことも少し聞かせてください。白いジャケットを着る演出はどのように?

TERU
ライブの一週間前くらいまでは着る予定ではなくて、ただ飾ってるだけの予定だったんだけどね。いろいろ演出を考えている中で、気球に乗って、降りてからの動きをメンバー間でやりとりしていたら、「アタマの2曲だけでも着た方がいいね」「そうだね」って話になって。で、急きょあの演出になりました。

袖を通す瞬間に緊張したりとかは…?

TERU
緊張はしなかったんだけど、どうやったらみんなが「あぁ、納得」っていう着方になるんだろうって。サラッと着てもダメだろうし(笑)。

そんなに意識してステージで服を着ることってないですよね。

TERU
ちょっと意識して着ましたね。つい最近、TAKUROん家で一緒にドームライブの映像を観た時も「ちょっと演技してるね」って話になった(笑)。俺なりに、10年待たせたねっていう、思いが詰まったワンシーンだったんじゃないかな。

順番が前後してしまいますが、最初の気球に乗って登場した時、TERUさんはドームの天井くらいまで上がっていましたが、怖くなかったんですか?

TERU
俺は全然大丈夫! リハーサルの時に一番上まで行ってみても全然怖さは感じなかった。

客席はよく見えましたか?

TERU
見えた! みんないい顔してたなぁ。あの演出は正解だったなと思った。自分も他の人のドームのライブでボックス席とかで観させてもらったことがあるけど、2階席、3階席は演出も全体的に観れるから、遠い方が面白い部分もありますね。そして、GLAYは遠くてもちゃんと楽しんでもらえるようなライブが出来るから。演出抜きでアリーナツアーをやったらどうなるか、というテーマを持って体力をつけてきたバンドでもあるので。そういう意味では、遠いからつまらないと思わせてしまうかも、についてはあまり心配してなかったんだけど、それでも、オープニングだけでもああやって、すごく近くに行けてうれしかった。アンケートでも「あそこまで来てくれてほんとによかった」っていう意見もありましたね。

"MIRACLE MUSIC HUNT"(※2)アリーナツアーのオープニングのワクワク度がスケールアップして大興奮でした。

TERU
まさか、ジャケットがゴンドラに乗って下りてくるとは思わないよね(笑)。あの演出は、"MIRACLE MUSIC HUNT"のアリーナツアーがあって、それをみんなが観てきてくれたからこその落としどころ。アリーナツアーでは上からメンバーが下りてきたところを「ジャケットだけなんだ!? メンバーどこ!?」っていう。で、点と点が結ばれている。そんな演出だったなと思います。

ではTERUさん作詞作曲の「HEROES」(※3)についても聞かせてください。1日目最初の「今のGLAYの姿を楽しんでください」というMCから1曲目「HEROES」に始まり、最後に残した「あきらめるな!」という言葉までのライブ全体が「HEROES」の内容と重なるというか、まさに、今回の東京ドーム公演のテーマソングだなと感じました。 歌詞やMCにはどういう思いがあったんでしょうか?

TERU
ドームに向けての10年間やEXPOがあってのここまで、僕らが必死になって表現しようとしていること、守ろうとしていることはメンバー全員に見えていたんですね。で、今回「HEROES」を制作するに当たって「ダイヤのA」のテーマソングの話はいただいていて、その時から自分の中ではテーマが決まっていたんです。GLAY4人とアニメの主人公の少年たちの闘っていくさま。そして、「GLAY4人がこれからもヒーローであり続けるためには何すればいいか」「あきらめない」っていうのを裏テーマに決めて曲作りしていました。スタッフみんなが「HEROES」を東京ドームのテーマソングにしたいって言ってくれたその思いもすごく嬉しかった。30周年、40周年に向けて、これからも闘っていきたいという夢も乗っけることができたので、自分の中では、20年間を集約できた曲だと思ってます。2日間のライブで、1日目は1曲目、2日目は本編の最後に「HEROES」を演奏できたことで、いいドラマができたんじゃないかな。

1つまとまった感じがありますね。MCでも「夢を見ようぜと言ってきたけど、かなわないこともある」という話があり、それでも最後には「あきらめるな!」って叫んでいたところもまた、TERUさんらしいなと。

TERU
どっちやねん!って感じだよね(笑)。今回のMCのきっかけになったのは、EXPO(※4)の「Bible」(※5)で。(曲中に「苦しいよね。悔しいよね。でも、そんな思いを音楽で少しでも幸せにできればいいなと思います。本当に…」と語りかけた)それを聞いていた友達が、東北という地で、被害に遭った人たちがたくさんいる中で、あの言葉を言っていいのはあなただけだ。東北のことを見つめてきて、いろんな思いで活動をしてきたからこそ言える言葉だから…って言ってくれて、すごくジーンときて。今回の「HEROES」の歌詞で、最初は「信じてますか?」って問いかけてる疑問形なんだけど、最後は「信じて行けよ!」という命令形の言葉になったのも、EXPOの「Bible」がきっかけなのかも。「HEROES」は43歳の時に書いた曲なんだけども、43歳にして、ずっと問いかけてるのもおかしいだろう? 43歳の自分なりにはっきり言えることはある。信じて行け、あきらめるなよ、ってことはしっかりと言えるから。あきらめなければ何かが起きるんだ、ってことは、43年間通してしっかり経験したことなので。だから「あきらめないでね」じゃなくて、「あきらめんなよ!」って強く発していった方がいいかなって。

思い描いていた通りにかなうこともあれば、そのために頑張ってきたことが別の何かにつながっていく、っていうこともある、と。

TERU
それは人生経験していくと、いろいろわかってくることでもあるからね。30代は「夢見ていこう!」って、叫んでた自分が40代になって、「みんなが夢を見てくれることが自分の夢です」って変わっていってるっていうことは、50代はまた夢を見ていく前提で何か違うメッセージを発してるんじゃないかな。

自分以外の人のために歌う、という話で、2日目の「軌跡の果て」(※6)の前に、制作当時のエピソードが語られましたね。TAKUROさんがTERUさんに歌詞に込めた思いを全て語って、それを踏まえて歌ったTERUさんが「人のために歌うと、みんなに伝わるんだなって思った」と。余談なのですが、自分にとっての初GLAY取材だったアルバム『BEAT out!』(※7)のインタビュー時に、TAKUROさんが「TERUが歌うことで僕は救われる」と発言されていた記憶がよみがえりました。

TERU
最初の頃って、「いい歌」を歌おうとしてて。プロデューサーに「気持ちを込めて歌いなさい」って言われても、気持ちを込めるとはどういうことなんだろう?って。歌の主人公をイメージして、なんとなくわかる気はするんだけどはっきりとはしてなくて。当時はインターネットとか普及してないから、ファンの人達がどういう心境で生活しているかも見えないし。で、一番見えたのは、TAKUROがどういう人生を送ってきたか。幼少時代からの家族、環境の話も全部聞いて、「その思いがこの曲に込められているんだよね」って。「じゃあ、この曲はTAKUROのために歌うわ」って言って、本気でTAKUROのために歌って、音源になって家で聴いた時に、ほんとに感動したんだよね。あ、これなんだ。自分で感動できるっていうのは、人のために歌う歌なのかもって…初めて経験させてもらった感覚で。それからは、ちゃんとみなさんに届けようって思いながら歌うようになりました。だから、「HOWEVER」(※8)とかもみんなに届いたんだろうし。

昔も今も変わらない素敵な関係ですね…。では最後に、20周年を終えて、これからのGLAYについて今TERUさんが考えていることは?

TERU
個人的な思いでいうと、20周年終わったので、これからは肩の力を抜いた活動をしていきたいなと。もっと音楽を盛り上げていけるような環境を作っていきたい。自分たちのため、そして、ファンの人達のことを思いながらやり続けた20年で、GLAYという一つの枠の中でやり遂げた感はあるので、今後はもっと違うところに目を向けて活動していけたらいいな。例えば、自分の中では"函館"もキーワードにあって。7月25、26日に函館アリーナのこけら落とし公演をGLAYでやるけども、函館にいろんなミュージシャンを呼んでやってみたいっていう気持ちもあるので。そういうイベントで自分の好きなバンドとかも紹介していけたらいいな。ファンの子たちも楽しいだろうし、他のファンの人達にも函館に触れて、いろんな思いを感じてもらえるだろうし。TERUの男祭り!みたいな(笑)。"男ナイト"とか、参加できない人に申し訳ないなと思ってなかなか踏み切れないこともあるんだけど、20年しっかりやりきったので、こういうことをやりたい!って怖がらずにいろいろ提示して、みんなを巻き込んでいけたらなって思ってます。とにかく、楽しんでいきたい! それですね。いろんな楽しみ方で、人生を楽しんでいきたい。僕の人生を。TAKUROも言ってましたけど、僕もGLAYに人生を捧げる一人なんだなって。しっかりと、GLAYだけで楽しんでいけたらなと思います。
※1:白いジャケット
2005年3月13日「GLAY 10th Anniversary Year Final GLAY DOME TOUR 2005 "WHITE ROAD」最終公演で、TERUは自らが来ていたジャケットをマイクスタンドにかけ「10年後にこのステージにこのジャケットを絶対取りに来る」と宣言しステージを降りた。今回のドームライブは20周年イヤーのファイナルであるとともに10年前の約束を果たすライブでもあった。
※2:MIRACLE MUSIC HUNT
2014年11月29日にスタートしたアリーナツアーから、ドーム公演までの総称。アリーナ公演全17本、ホール公演全8本(“MIRACLE MUSIC HUNT+"名義)、ドーム公演2本("MIRACLE MUSIC HUNT FOREVER"名義)を数える。
※4:HEROES

5月25日発売のニューシングル「HEROES/微熱Ⓐgirlサマー/つづれ織り~so far and yet so close~」に収録されているTERU作詞・作曲のナンバー。前シングル「疾走れ!ミライ」につづいてテレビ東京系アニメ「ダイヤのA」(毎週月曜18:00~他)のオープニングテーマとしてオンエア中。
※5:Bible
2012年5月23日にリリースされた45枚目のシングル。
※6:軌跡の果て
1996年年月7日にリリースされたセカンドアルバム「BEAT out!」に収録。その後「REVIEW ~BEST OF GLAY~」(1997年10月1日リリース)、「MUSIC LIFE(2CD豪華盤「BALLADE BEST☆MEMORIES」)」(2014年11月5日リリース)に収録。
※7:BEAT out!
1996年2月7日にリリースされたセカンドアルバム。
※7:ACE OF SPADES
HISASHI(Guitar)TAKAHIRO(Vocal)TOKIE(Bass)宮上元克(Drum)からなる4ピースバンド。
※8:HOWEVER
1997年8月6日にリリースされた12枚目のシングル。

インタビュー:草野美穂子

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