GLAY

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INTERVIEW

Vol.83 『REVIEW II』 JIRO DISC Review

シングル表題作がほとんどない上に、過去発表されたベスト盤にも収録されていない楽曲が多く、HISASHIをして「GLAYの光が当たってない面がよく出ている」と言わしめたのが、このJIROディスク。GLAYのライブのセットリストを作成しているのがJIROであることは、これをお読みの皆さんはよくご存知だと思うが、JIRO曰く「初めて見に来た人がいるかもしれないし、十何年ぶりに来た人がいるかもしれないし、いろんな思いを持っている人が来るから、いろんなことを考えなくちゃいけないんですよね」とのことで、逆に言えば、そこではJIRO自身の趣味嗜好はあまり反映されていないことになる。しかし、この『REVIEW -BEST OF GLAY-』では、他のメンバーが選ぶディスクがあることもあって、JIROは自由に選曲。個人的に好きな曲を選んだという。とは言え、勝手気ままなチョイスではないことは、これまたよく分かるリストではあろう。曲調や尺の関係でライブでの置きどころが難しい楽曲をここぞとばかりに拾い上げてきた印象はある。そんなJIROの“GLAY愛”を感じさせると共に、しっかりと起承転結とも言うべき起伏が計られた曲順であることも見逃せない。見事な再編集盤である。

2019.12.20

Scoop
2016年1月27日発売の通算53作目のシングル『G4・IV』と、14thアルバム『SUMMERDELICS』(2017年)に収録。作曲者のJIROは当初THE PREDATORSに持って行こうかと思っていたところ、TAKUROから“それはちょっと困る”と止められたという逸話を持つアップチューン。


SAY YOUR DREAM
2009年3月4日発売の40thシングル。現在までのところ、GLAYのシングル表題曲としては最長尺の12分を超える組曲的なナンバーである。「グロリアス」から脈々と続く過ぎ去った日々への回顧と、「I'm in Love」に代表される家族とのつながりが共に綴られた歌詞が大作に相応しい。

夢遊病
6thアルバム『ONE LOVE』(2001年)収録。歌詞は《人はきっと夢に 犠牲を払って 宝物を見失う》や《激しく揺れた思いの果てに 死ねないでいた》と少しドキリとさせられる内容なのに、メロディとリズムはポップというところが何ともGLAYらしい。埋もれさせるには惜しい秀曲のひとつ。
YOU
2014年7月9日発売の50thシングル『BLEEZE 〜G4・III〜』に収録。Aメロ、Bメロの歌のキーも低めで、派手さこそないが、楽曲全体をグイグイと引っ張っていくベースラインに不思議な高揚感が感じられる。《キミが笑う/それだけでいいよ、多くのことなど望みはしない》との歌詞も力強い。
Apologize
10thアルバム『GLAY』(2010年)収録。単音弾きのギターとシルキーな女性コーラスが象徴する抑制の効いたアンサンブルを中心としなからも、エモーショナルなサウンドが要所々々で決まるアレンジにロックバンドの矜持を見る。語るように祈るように歌うTERUのボーカルも素晴らしい。

ゆるぎない者達
7thアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』(2002年)収録。メロディも歌詞もアレンジも申し分のないバラード。原型は2000年頃にあったというから、凡そ20年前にこのクオリティが発揮されていたことに驚かされる。当時のGLAYのポテンシャルを改めて知ることができる好例でもある。
時の雫
2004年1月28日に発売された29thシングルで、8thアルバム『THE FRUSTRATED』(2004年)にも収録。本来TAKUROがとある女性アーティストに提供する予定だった曲を、JIROの一声でGLAYの楽曲としたという経緯がある。伸びやかで、それでいて力強いメロディが印象的だ。

Friend of mine
7thアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』(2002年)収録。TAKUROは“この曲はここじゃなかったら居場所がなかった”と今回のベスト盤の意義を象徴するナンバーとして同曲を挙げている。ゴスペル~ソウルというアメリカンな要素を泥臭くなくポップミュージックに昇華している。
卒業まで、あと少し
こちらも7thアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』(2002年)収録曲で、2002年2月27日発売の25thシングル『Way of Difference』のC/Wでもある。間奏でのツインギターや、後半でボーカルの主旋律の絡むギターに、ロックバンドとしての意志が感じられるミッドバラード。
TIME
2000年11月15日発売の21stシングル『Missing You』C/W。コアなGLAYファンなら、この楽曲を作った時のJIROがどんな心境であったのかはご存知かと思う。《蜃気楼の中 出口をさまよい求めて》の歌詞は今も切ない響きを持つ。それ故にJIROにもGLAYにも重要なナンバーと言える。
REIWADEMOCRACY
15thアルバム『NO DEMOCRACY』(2019年)収録。オープニングSE的な位置付けとも言える楽曲を、オリジナルと同様、次曲とセットで収録している点にJIROの愛着を感じる。本ディスクでは、『TIME』から『反省ノ色ナシ』以下へのブリッジとして機能していると考えられるのがおもしろい。
反省ノ色ナシ
BPMも決して速くなく、ストリングスやフルートなどバンド以外の音もふんだんに取り込んでいるのだが、それでいてロックバンドらしいダイナミズムを損なうことなく、聴き応えはしっかりポップ。ベテランの域に入ってきたGLAYの貫禄を感じさせるナンバー。流石最新アルバム収録曲だ。
君にあえたら
2011年12月14日発売のミニアルバム『Hope and The Silver Sunrise』、ならびに12thアルバム『GUILTY』(2013年)に収録。東日本大震災後に作られたナンバーで、その影響が色濃いと言われる。『GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary』のアンコール1曲目で歌われた。

lifetime
14thアルバム『SUMMERDELICS』(2017年)収録。オリジナル盤同様、ラストに置かれて当ディスクを締め括る。《苦しい時にほら 流れるこの MUSIC/次にまた会えることを願って》との歌詞が、改めてライブバンドとしてのGLAYの本懐を示しているようで、JIROの心意気が伝わってくる。
文:帆苅智之

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