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INTERVIEW

Vol.127 TERU インタビュー

メンバーインタビューの第3弾はTERU。多彩な楽曲を収めたニューアルバム『旅する理由を待ちながら』には今までにあまりなかった唄い方が聴けるところがあり、そこは彼自身どんな意識で臨んだのかと思っていた。さらにスタッフに聞いた話では、今回のツアーで販売されるパンフレットにはTERUが発案したヴィジュアルのイメージやアイディアが盛り込まれているとのこと。彼の意見はステージの演出やセットにも波及しているようで、この取材時もライブで使用する映像のイメージを確認したあとにテーブルについてくれている。どうやらここに来てのTERUは、今までになかった姿勢を見せ始めている気配がある。
しかし、いざインタビューが始まって目の前にいたのは、やはり人なつっこくて、飾ることのない性格の、いつもの通りのTERUだった。バンドや音楽の話をまっすぐに受け止め、真剣に考えてくれて、さらに没頭中のアートのことも熱く語り、でも面白い瞬間には屈託なく笑う彼は、人柄はそのままに、新たなチャレンジをしていこうとしているのだ。
なお、TERUが書き下ろした『NEVER SAY NEVER AGAIN』は、今回もTVアニメ『ダイヤのA』のオープニング曲に起用されている。この人だからこそ作れる、青さと疾走感が入り混じったロックナンバーである。

2026.11.4

今回のツアーパンフレットは、主にTERUさんがアイディアを出していると聞きました。
TERU

はい、今回はそうですね。ヴィジュアルに関しては、ライブで使う映像も凝りたいなと思っていたので、ちょっと提案させてもらっていて。ふだん、あまり動かないんですけど(笑)、30周年を超えたし、あと、ファンクラブ30周年のスタートを無事に切ったので、ここからまた40周年に向かっていくにあたって、どういう見せ方をしていけばいいのかな、というのもあるし。それから自分が今やっているアートの活動で感じたことをGLAYにも少し反映できればいいな、というところもあります。だからライブでは、視覚的に脳をバグらせるような映像を作ってもらったりしていて。それからステージも、いつもは平面なんですけど、それを立体的に……鋭角というか、三角の形にしたりとか。

三角? そんなステージセットになるんですか。
TERU

今回のボーダー(パンフレットのデザイン)に関しても、ちょっと80年代、70年代を感じさせるようなものをね。まあアルバムが、僕らが高校時代に聴いてきた音楽をまた自分たちで昇華したような作品で、キーワードで80年代というのがみんなの中にあったので。で、アートの世界の80年代というと、モダンな世界に行っていたり、そのアートがすごく栄えていた時代でもあったので、ちょうどいいなと思って。それで、今回はアートを取り入れたステージにしたかったし、パンフもそれに連動してやってみたいと思いました。

じゃあ「80年代的なもの」という一貫性があるんですね。
TERU

そうですね、今回はコンセプチャルに作っています。あと、衣装を揃えたいということをみんなに提案しました。今までは色合いを少しだけ合わせてみたようなスタイルでライブをやっていたんですけど、今回は全部真っ黒でまとめたいと。でも映像が派手なので、それとのコントラストも楽しんでもらえたらいいなと思います。会場のどんな場所から見ても飽きないステージにしたいなと思いますね。

わかりました。そのライブについてですが、どんな内容になりそうですか?
TERU

今年の始まりだったKアリーナのライブでは、TAKUROに「全曲を新曲でやりたい」というコンセプトがあったんですけど、時間が足りなくてそれができなくて。だから今回は、そのTAKUROの思いがステージに反映されているんじゃないかなと思います。選曲では、(同会場での)2公演で(アルバムからの)新曲をしっかりと網羅できるツアーになっています。あとは、自分たちが「あれ、最近やってなかったよね」という曲だったりをね。基本的には、GLAYのメンバーがどんな刺激を感じられるか、というところに気持ちが向いているんじゃないかな。

TERUさん自身、ちょっと違うものを見せていきたいという感覚があるわけですか?
TERU

30周年を超えてから「今のままじゃダメだな」という感覚が、すごく自分の中であって……それはアルバムに関してもそうなんですね。だから唄い方をいろいろと変えてみました。ハードなくり返しでは、がなり声も入れてみたりね。今まで培ってきたものをそのまま提示するのではなくて、ここ1年ぐらいは「また新しい自分を見つけていきたいな」と動いているところがあって。そこはアートをやっていることも、たぶんあるんでしょうけど。

たしかに近年のTERUさんは絵をたくさん描いたり、その展覧会を開いたり、アート関連の活動に活発ですね。そこからの影響が? 
TERU

そう、アートに気持ちを向け始めたんですけど、音楽とはまるで違う分野なので、勉強になることがすごくたくさんあって。「こんなふうに刺激のあることができるんだな」と思えたり、「今までに持っていない知識を得たり、経験したことがないことをやるのは、こんなに心が震えるんだ」と感じたりしています。それをGLAYでもやっていきたいなと思うようになっていますね。あとで気づいたんですけど、これはアートからの影響を受けているなと思いました。

ふむふむ。もちろん、どちらも表現ですから、通底する部分はあるとは思いますけど。
TERU

はい。今までの自分は、どちらかというと歌以外のところでは先頭に立ってやることはない人間だったので(笑)、それがあると思います。運動とかでは「よし、行くぞ!」という感じではあるんですけど、GLAYの中では「あ、いいね」「うん、いいんじゃない」ぐらいのスタンスで活動してきたところがあったんです。「ボーカルだけに集中できればいいや」という感じですね。それがアートの世界を経験したことで、「自分がもう少し頑張れば、もっと違う世界に飛び込めるかも」ということに気づけたというか。

へえー! それは大きなことですね。
TERU

そうですね。だから今までよく「ソロはやらないんですか?」って言われてきたんですけど、そのソロは今、アートのほうなんだろうなと思います。そこで何かを吸収して、それをGLAYに持って帰るやり方になっている感じはしますね。

そのアートの世界での姿勢って、大衆音楽というかポップミュージックの世界でGLAYがやっていることと、どのへんがリンクしています?
TERU

やっぱり、何もないところから何かを作り上げること、ですね。いろんな作り方ができるわけじゃないですか? どんな絵でも描けるけど、でもそこで人の心に突き刺さるものを描かないといけない。それは音楽もそうで、そういうものを作り上げていかないと、のちに残っていかないですよね。音楽はGLAYのメンバーみんなで一緒に楽しく、自分たちが今やりたい音楽を表現すればいい、という形ではあったんですけど。今思うのは、「もっと突き刺さるものを提案しなきゃダメ」ということですね。そういうモードに入っているような気がします。自分の中では。

そうなんですね。突き刺さるものを。
TERU

はい、突き刺さるものです。人の心を和ませるのもいいだろうし、寄り添うのもいいんですけど、もっと……言葉が合っているかどうかがわからないですけど、もう少し攻撃的なもの。ほんとに突き刺さる、胸をこう、思いっきり……殴る、みたいな? 表現が難しいんですけど……あはははは!

えーと、相手の胸ぐらをつかむ、ぐらいの?
TERU

胸ぐらをつかむ、そうそう(笑)。そのぐらい暴力的なものでもいいんじゃないかなと。で、今回のツアーは、オープニングもそうなんですけど、ストイックな感じを出したいな、と。それがたぶん、今の自分が出したいものなんじゃないかなと思います。

ストイックさを表現するステージですか。
TERU

そう、ストイックな感じですね。今まではホンワカした、隣にいる優しいお兄さんみたいにみんなに寄り添うGLAYが受け入れられていたと思うんです。それはそれですごく大事なことだと思うんですけど、もっと違うGLAYをみんなには見せていきたい。そういう気持ちに切り替わっているのは、アートのおかげだと思います。アートって、ほんとに向き合って命懸けないと残っていかないので……そういうことは、すごく感じましたね。

なるほど。現在のGLAYには、今までとちょっと違うことをしてみようという意志を感じますが、TERUさん自身もそうなんですね。
TERU

はい。それは楽曲の制作もそうですね。そこはJIROが一番考えてるんじゃないかな。今回のアルバムタイトルになった曲もそうですけど、今までのGLAYにはまったくなかったテイストの楽曲になったし。TAKUROはTAKUROで「もっと違うものを」というスタンスで、今から10年後のGLAYを考えているような気がするし。HISASHIはHISASHIで、いろんな分野に足を踏み入れていっていて……それはテレビへの露出だったり、すごいマニアックなイベントに顔を出したりね。ここ2、3年は、それぞれが次なるGLAYをどうしていくかを考えながら動いてるような気がします。

それは30周年で自分たちをしっかりと振り返ったり、やってきたことをたどり直してきたからでしょうか?
TERU

うん、もうやりきって、「次は何やろう?」というところではあったと思うんですよ。実際、夢だった京セラドームも、それに東京ドーム公演もできたし、ヴェネツィアも無事に終わったので、その次なる目標を探す旅に出るのかなぁと……『旅する理由を待ちながら』じゃないですけど。たぶんみんな、そこらへんを考えながら歩んでいるのかなって思いますね。

じゃあTERUさん個人は今、「これからのGLAYをこんなふうにしていけたらいいな」というものはあります?
TERU

僕が目指すところは、やっぱり70歳でもドームツアーができるようにはなっていたいですね。あと15年ですか。そこはもう目標としては思っています。だから今度のアリーナツアーだったり、前回のドームでのライブもそうですけど、1本1本、次なるその70歳に向けての布石だと思ってやっていますね。そういうGLAYでいたいなというのは、みんながおぼろげながらに思ってるんじゃないかな。なので、そこに向かって、それぞれの活動で得たものをGLAYに持って来るだろうしね。で、僕は、歌のクオリティを上げていきたいし、70歳でも衰えないボーカリストでありたいなと思っていて。小田和正さんとは、あの方が77歳の時にコラボレートさせてもらいましたけど、その時に感じたのは……「絶対、僕らもああなりたいな」という思いでしたね。なので、まあ自分たちは「GLAYは解散しないバンド」とか言っていますけど、目標としては70、80(歳)でも、ほんとに第一線で戦えるバンドを目指していきたいと思っています。

そこまで考えているんですね。ただ、並大抵のことではないですよね。
TERU

そうですね。やっぱり活動し続けていかなきゃいけないし。あとはオーディエンスと自分たちのやりたいこと……その思いの違いがどう生じてくるか、というか。僕らは「この方向性でライブをやりたい」と思っていても、リスナーの側には「いや、これじゃないんだよな」と思ってしまう人もいるかもしれないし。でもそこらへんは、やっぱりライブという形で刺激のあるものを伝えていきたいですね。「また次も観たいな」「次もGLAYのライブに行きたいな」と思ってくれるようなライブを続けていけたらいいなぁとは思っています。まあマンネリにはならないように、という感じですね。

マンネリを良しとはしないと。
TERU

そう! たぶんB’zさんも、それにミスチルさんもそうですけど、ずっと第一線で戦っていく人たちなんじゃないかな。それで僕は、桑田佳祐さんという偉大な方がいらっしゃいますけど、あそこを目指さないといけないんじゃないかなと思っていて。やっぱり70になっても唄える、70になってもギターをかき鳴らせるバンドでいたいなとは思いますね。

わかりました。続いてアルバムの話なんですけど、さっき攻撃的という表現をされましたが、とくにアルバムの前半はものすごいですね。 
TERU

そうですね(笑)。

で、これもさっき話に出たように、TERUさんの唄い方も、リミッターを外してるんじゃないかっていうぐらいで。
TERU

そう! それを今回、全曲に関してやりたいなと思いました。

かなり苦心されたんじゃないかと思いますが、どうですか?
TERU

いや、デモ(音源)を作る段階できっちりやっていたので、そこまでではなかったです。本番では「あのデモを超えるためにはどうするか?」ということでしかなかったので。

そうですか。歌入れでしんどかった曲とかはないですか?
TERU

そんなにしんどいっていうのはないんですけど。ただただ、ほんとに楽しかったのが、やっぱり『悲願』……小田和正さんと一緒にやることができた曲ですね。あと今回は、ライブでやってきた楽曲をレコーディングしていますからね。『汚れた英雄』に関しては、最初にデモを聴いた時はほんとに驚いたんですけど、実際やってみたら「ああ、いけるな」と思ったし。これはね、「よく唄えるね」って言われました……あはははは!

(笑)そうですよね! これ、歌詞がもう弾丸のようで、ほんと、よく唄えるなぁと思います。
TERU

そう(笑)。唄ってみたら「めちゃくちゃカッコいいなあ」って、自分でも思ったので。何か新しい扉を開いてくれた曲ではありますね。こっち系もいけるんだなあって。

そうです。ハードで、アタック感が強くて。
TERU

うん、めちゃめちゃ人気ありますね。SNSを見ていても、たぶん今までGLAYを聴いたことがない人たちも「この曲カッコいい」と言ってくれているので。実はデモの時は、もっとニュアンスが違ったんですね。それを自分なりの解釈で叫んで唄っていたら、HISASHIが「本当はこれじゃないんだけどね」って(笑)。「でもカッコいいから、いい!」って言っていたので。で、アルバムでほかには、GLAYが今まで曲を大切にしてきたことがわかるような『RADIO STAR』があったり。うーん、『You Can Get It All』はちょっと難しかったですね……これはアプローチとして合っているのか合っていないのか、わからなくて(笑)。

いや、僕はいいと思います。ただ、この曲で終わるんだ?という驚きがありました。
TERU

(笑)そうですね。前回のアルバム『Back To The Pops』もそうなんですけど、TAKUROのやりたいイメージの世界があるわけじゃないですか。次はこんなものを作っていきたいっていうデモが来るんですよ。で、TAKUROの歌が入っている曲がほとんどなんですけど、それをそのまま唄えばいいのか、それとももっと違うものを求めているのかが、毎回ちょっと悩むところですね。だから『You Can~』もそうなんですけど……そう、『CANVAS』もそうだったし。これで合ってるかな?というのは、けっこうありましたね。

それにタイトル曲の『旅する理由を待ちながら』もいい曲で、このTERUさんの歌声には救いをもたらしてくれる感覚がすごくあります。
TERU

あははははは。これはツアーでやってきた曲で、ライブで唄い方を発見した曲なんですよ。最初はもっと静かに唄っていたんですけど、それがリズムに乗った、グルーヴィな唄い方になっていきました。で、唄っていて、この(アルバム)タイトルになったのもわかるような気がしていて。もともとは『EXOFIRE』というタイトルのアルバムではあったんですけど、やっぱりひとつ旅を回って、『旅する理由を待ちながら』となったのは僕の中でも腑に落ちたっていうか、いいね!と思ったので。

ライブで唄いながら理解が深まっていったんですね。
TERU

うん。ライブを経験したからこういう歌になりました、という楽曲は多いですね。それは『INAZUMA』の掛け合いもそうです。最初はひとりでフェイクみたいな感じで唄っていたのが、ライブで「ここでマイクを(客席に)向けてみよう」ってやってみたら、初めて聴いた曲で歌詞も出ていないのに、みんな唄ってくれたんですね。じゃあこれはコーラスにして、いろんな声を入れようと思って。だからレコーディングの時には、TAKUROやスタッフのみんなに声を入れてもらいました。

『INAZUMA』もテンションが上がる曲ですね。
TERU

そう、上がってきますね。さっき「リミッターを外した」という言葉をいただいたんですけど、ほんとにそこは自分でも意識してやっている曲が多いです。『NEVER SAY NEVER AGAIN』に関しても、ほんとは最後のサビの高いところはなかったんですけど、ここでテンションをグッと持っていくメロディーを新たに考えて、レコーディングしました。

これは今までも唄ってきたTVアニメの『ダイヤのA』シリーズの主題歌で、やはり熱くなりますね。
TERU

そうですね。しかも、もう(アニメのシリーズが)ラストになってしまうと聞いてたので、あぁここで終わりなのか、という思いも歌詞に入れ込んでレコーディングしました。で、♪君に出会えた奇跡に感謝しよう♪というフレーズを、『ダイヤのA』の監督さんやプロデューサーさんも感じてくれたみたいで……「ほんとに出会えて奇跡だよな」ということを(アニメの)1分半の映像に散りばめた、と言ってくれていたんです。なので、僕のそういった思いもちゃんと伝わったんだなと思いました。

こうしたアルバムの曲たちを演奏するツアーになるわけですね。となると、もちろん盛り上がるだろうけど、かたや、心の内側にグーッと入ってくるような曲もあります。
TERU

そうですね。だから今回のツアーは2部構成にするというアイディアがあるんです。

あ、そうなんですか? 前半と後半で分けるような?
TERU

そうなんです。なので前半戦は僕が目指しているような、ストイックなライブで。で、後半戦はガラッと変わった、派手な演出になっていくと思うので。そういうところの変化も面白いと思います。

わかりました、楽しみにしています。しかし今回の15曲は、バンドがやりたいことをやって出来上がったアルバムというインパクトを受けますね。強さがあるし、心に深く入ってくるところもあるし、新しい表現にも向かっていて。そしてTERUさん自身もそういう動きをしているところなんですね。
TERU

うん。今は新しいことを、刺激のあることをやっていかないと、逆に不安になっちゃうかもしれない。「また同じことをやってるな」みたいな思いにはなりたくないというか。

はい。ただ、さっきHISASHIさんが言っていたんですけど、TERUさんが唄うと、良くも悪くもGLAYになる、と……。
TERU

あははははは! そうですね(笑)。

この言葉は30数年の間に何度も聞いていますけど(笑)、そのことは結局、GLAYの魅力につながっていると思うんです。
TERU

そう。強みでもあるし、ということね。

そうです。で、この話をこうしてTERUさんにするのは、おそらくご自身が理解されていると思うからなんですよ。
TERU

そうですね、はい(笑)。だから今は、そこを抜け出したいんでしょうね。ちょっとセオリーを崩して、今までの自分じゃないものを新たに作りたいし。その作る作業をし始めている感じはします。

はい。じゃあこのツアーでは、きっと……。
TERU

うん。新しい自分が見えるような気がしますね!

取材・文/青木優

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