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VOL.86 GLAY「G4・2020」インタビュー

2020.08.13

TERUインタビュー

ステイホーム期間中はどんな毎日を過ごされていましたか?

TERU
主に音楽制作をやっていましたね。これまでLogic Proの機能の1割程度しか使えてなかったのを勉強して、今では7割くらいまで使えるようになりました。今、メンバーとリモートレコーディングの形でGLAYのアルバムを作れたらいいねと話しているんです。この手法でのアルバム制作はGLAYとしては初めての試みになります。あとはライブができないのなら自分でやろうと「GLAYアプリ」でライブ配信ができるようにシステムを変えてもらって。今できる最大限のことをやっていくと、新たな活動方法が見え始めるんですよ。

配信ライブを行う際のポリシーはありますか?

TERU
自分としては、例えばインスタライブなどで音楽を無料で届けるという形に関しては一歩引いて見ていました。そのやり方を続けていたら音楽業界が破綻してしまうという怖さを感じたんです。音源にしてもライブにしても、商品としてちゃんと届けられるようなクオリティを保って、お金を発生させることを意識していますね。もちろんファンの子たちも無料で楽しめるのはうれしいでしょうけど。それよりも演奏や演出のクオリティを上げて、観た人が感動できるようなものを提供していくことがミュージシャンとしての役目なんじゃないかと思うんです。配信ライブは新たなエンタテインメントの形として始まったばかりなので手探りですが、その都度最大限のものを提示していきたいですね。

ステイホームな日々は続きますが、そんな中で「G4」シリーズの最新作「G4・2020」がリリースされます。この中でTERUさんは「ダイヤのA actII」のオープニングテーマでもある「流星のHowl」の作曲をされています。

TERU
「ダイヤのA」とのタイアップはもう5回目で、4作目までは高校野球や夏の甲子園大会をイメージした明るい曲だったんですが、今回はこれまでとは違う曲調にしようと。改めてアニメを見直してBGMを聴き込んでいたら、意外とドロドロとしたマイナー調の音が多くて。考えてみたら「ダイヤのA」は高校球児たちの苦悩の日々を描いているし、ただ明るいだけのストーリーではないんです。それで敗者をテーマに、マイナーかつEDM調の曲でその世界を表現してみようと思いました。スポーツアニメの曲というと明るくてアップテンポなイメージが強いですが、意外に評判がよくて。それとマイナー調のEDMというGLAYっぽくない作風に対してリスナーから「え、これGLAYなの? カッコいい」みたいな反応もあったし、僕としてはしめしめと(笑)。

TERUさんが手がけられたこれまでの「ダイヤのA」のテーマソングとは真逆なタイプですよね。歌詞も今回はTERUさんではなくTAKUROさんが手がけられています。TERUさんの楽曲をTAKUROさんが作詞されるのは珍しいのでは?

TERU
僕が「ダイヤのA」の歌詞を書くと必ず「青空」が出てきちゃうんですよ。「今回は空を出さないぞ」と思っても、歌詞を書いているうちに青空が出てきちゃって(笑)。ポジティブで前向きすぎる自分の性格だと、歌詞とはいえなかなかネガティブなことが書けない。それでTAKUROにお願いしたんです。

そんな事情がありましたか(笑)。ほかの曲についてもお伺いしたいのですが、HISASHIさん作詞作曲の「ROCK ACADEMIA」を聴いたときの感想はいかがでしたか?

TERU
今までのHISASHIの作風だとちょっとピリッとした、時代に釘打つような切り口の曲が多かったところ、すごくストレートで垢抜けているという印象でした。歌詞を読んで、デビュー25周年を迎えた中で、HISASHIがロックを楽しんでいるんだなと感じました。「彼女はゾンビ」以来HISASHIの中で何かが弾けたんでしょうね。「こういう曲をGLAYでやっていいんだ」というのを感じて以来、足かせが取れた感じで自由に曲作りしてる気がします。

わかります。ライブでも盛り上がりそうな1曲ですよね。

TERU
盛り上がるでしょうね! ラストはみんなで大合唱じゃないですか? でも曲が短いんですよ。GLAY史上最短くらいじゃないですか?(笑) でもその短さを感じさせない構成とアレンジになってると思います。

この曲はMVも撮影されたんですよね。

TERU
ひさしぶりに全員集まっての撮影だったので、どう臨めばいいのかわからなくて。演奏シーンに関しては、「とにかく動こう!」と思って感覚でやってましたけど、実際完成したらはしゃいでるおじさんが画面の中にいて……ひさびさにメンバーに会えたテンションが反映されていると思います(笑)。

JIROさんとTAKUROさん共作の「DOPE」はどう聴きました?

TERU
JIROは昔から変わらずメンバーだけで構築できるサウンドが好きなんだなあと。それと一貫して自分が作った曲は、コーラスをあまり入れたくないと言うんです。僕はサビでコーラスを厚くして、ちょっとキラキラした曲に仕上げることが多いので、こういった曲は歌っていて新鮮ですね。

今回のシングルには「Into the Wild」のリミックスが3トラック収録されています。これを受けて先日オフィシャルサイトでステムデータが公開されていました。

TERU
今回のシングルはリミックスも特徴なので、その訴求とみんなを楽しませる企画としてステムデータを公開したらいいんじゃないかという話になったんです。これを機にみんな音楽を作ったり、リミックスをする楽しさを味わってほしいですね。ビリー・アイリッシュみたいに新たな才能が生まれたら面白いですよね。

シングルと同時に「HOTEL GLAY」のライブ映像作品が発売されますが、ご覧になっていかがでしたか?

TERU
改めて周りの方々の協力あってのステージだったんだなと思うし、それこそライブはファンの子たちがいてこそ成り立っていたんだなと。お客さんが目の前にいてこそ発揮できるものもあるし、そこで起きるマジックを楽しみながらステージに立っていたので、またこういうライブができる日がくることを願っています。

Blu-ray、DVDにはオーディオコメンタリーも収録されるんですよね。

TERU
はい。4人でひさしぶりにクロストークができたのがめちゃくちゃ面白くて。お酒も入っていたので打ち上げみたいな感じでした(笑)。

最後にファンの方にメッセージをお願いします。

TERU
コロナの影響は人によっていろいろ違うと思うのですが、不安な日々を過ごす中でがんばろうと思える気持ちや安らげる瞬間を提供できる音楽を作ろうと思って僕らは過ごしてきました。その気持ちが今回のシングルの形になっていると思います。「G4・2020」を通して僕らが届けたいロックや今後のGLAYを感じて元気になってください。

TAKUROインタビュー

今回はリモート取材ですが、こういった形での取材には慣れましたか?

TAKURO
慣れましたね。自粛期間中は仕事も全部リモートですし、飲みもリモートでしたから。Zoom飲みは3回くらいやったんですけど、あるときにキリがないと気付いて断るようにしました。

どうしてですか?

TAKURO
飲みすぎちゃうんですよ。あと、結局盛り上がってくると人が人を呼ぶんですよね。そうすると途中で「じゃあ俺、落ちるね」って去るわけにいかなくて、結局“ひとカオス”あるまで飲み会が終わらないんですよ(笑)。

ステイホーム期間中はどんな思いで過ごされていましたか?

TAKURO
“日常”がある日突然奪われたような感じではありましたね。プライベートでは家族の長として、会社では社長として、近くにいる人たちの安全をずっと気にしてました。あとはニュースを観ながら、安全かつ日々の生活に潤いを与えられるようなエンタテインメントの新しい一手はなんだろうなあと考えて。改めて自分の生き方やGLAYのこれからを考えるいい機会になりました。

その中で気付いたことはありましたか?

TAKURO
結局俺が人生を懸けてやりたいのはライブなんだなと再確認しました。誰も観に来なくても、メンバーとスタジオに入って日々作り上げたものをライブで届けたい。10代のときにGLAYを組んで感じたことって、楽器の音が重なっていくうれしさや、他愛ないメンバー同士の会話の中で人生で大切なものを学んでいる感覚だったんです。早く今作っている曲たちを10人の前であれ、5万人の前であれ直接やりたいという気持ちになりましたね。

今回のシングルリリースは自粛期間前に決まっていたんですか?

TAKURO
はい。ただ、こういった状況になるとは想像してなかったです。一方で今それぞれ大変な状況の中にいる人に向けて新作を届けるのは意味があることだと思っています。タイトルには、例えば10年後の2030年に振り返ったときに、今のことを思い出せるようなものとして象徴的にタイトルに「2020」を付けました。

「G4」シリーズと言えばどれもコンセプトがはっきりしていますが、本作は何か決めて作られたんでしょうか?

TAKURO
デビューから25年経ったGLAYが今ミュージシャンとして充実してるんだ、と高らかに伝えたいということですね。初めてHISASHIの「ROCK ACADEMIA」を聴いたときに、彼なりの25年の活動やGLAYというバンドにおける総決算みたいな歌詞だなと感じたんです。今のシーンをリスペクトしながら、自分たちがやってきたこれまでのことを誇りを持って表現している。俺がHISASHIをGLAYに誘った身ですけど、「そういうふうに思ってくれているんだ」とリーダーとしての密かな喜びはありました。ライブでお客さんと一緒に歌ってる絵も浮かぶような曲だし、少なくとも俺にとっての救済的な存在になってます。これからのGLAYにとってアンセム的な曲になるんじゃないかな。ライブで披露できるその日まではコロナにはかかれないし、GLAYを潰せないし、事務所も潰せないし、がんばるしかないなと思っています。

TAKUROさんは今回のシングルの中では「DOPE」と「流星のHowl」の作詞に携わっていますが、TAKUROさんの作詞の根源はなんでしょうか?

TAKURO
人間に対する興味ですね。例えば、コロナ禍の中で人の心の動きや考えが可視化されますよね。それは“自粛警察”なのかもしれないし、より思いやりを持って日々暮らす人たちかもしれないし……そういった動きを見るとやっぱり人間って面白いなと思います。そこにネガティブな感情はなく、飽くなき人間への興味しかないんです。あと妻であれ子供たちであれ、GLAYのメンバーであれ、長年付き合っていても「俺の49年の経験がまったく通じない」と思う瞬間がありますし、そこがまた面白い。そういった自分の日々を歌詞にスケッチしていけたらと思っています。

もう1つTAKUROさんが携わっている曲と言えば「Into the Wild ~密~」ですが、「密」というサブタイトルの由来は?

TAKURO
ベストアルバム(「REVIEW II -BEST OF GLAY-」)に収録されている「Into the Wild」とはアレンジも違うし、当時と今のGLAYの状況も変わっているから区別をつけるためにサブタイトルを付けることにしたんですが、ただそれを表す言葉となると悩んでしまって。それでHISASHIに「今感じる気持ち、そしてこの令和2年の状況を漢字1文字で表すならなんですか?」と聞いたら、1分後くらいに「“密”です」と返ってきて(笑)。で、確かにそうだなと思ったんですね。「密」という言葉は今回のコロナ騒動でたくさんの解釈が生まれ、耳にしたときにいろんな思いを抱かせる言葉になった。いろんな解釈ができるという意味で、「Into the Wild」で伝えたいメッセージとも重なって。それと将来的に「Into the Wild ~密~」を聴いたとき、大変な時代を生き抜いたんだと確かめられるようなものにしたいなという思いもありました。

シングルには「Into the Wild ~密~」以外に、☆Taku Takahashiさん、80KIDZさん、BUNNYさんのリミックスも収録されていますがいかがでしたか?

TAKURO
スタッフ発信で実現した企画だったんですが、最先端のDJの方に解体される事でこんなに新しいサウンドになるのかと発見があったし、何よりもどのリミックスも気に入ることができましたね。切り取られる部分もそれぞれ違って、「この曲にはこういった一面もあるんだよ!」と自分自身が心から喜べるのがうれしかったです。

今回のリミックス企画でも感じましたが、GLAYは時代に合わせて新しいものを積極的に取り入れてますよね。

TAKURO
そうですね。キャリア25年以上ある日本のバンドで、ここまで新しいことを取り入れたり、変わることを許すプロダクションはないと自分たちでも思ってます。一度ヒットした曲をトレースしながら進化させていくことはあっても、今までのキャリアを売っ払うような「ROCK ACADEMIA」や「彼女はゾンビ」みたいな曲を出すアーティストはあまりいないんじゃないかな(笑)。でも、そういった新しい曲を鳴らしてやろう、売ってやろうという気持ちは常にあります。「こんな曲が世の中に流れてれいばいいのに」という曲を軽々とほかのメンバーが作るのを目の当たりにすると、16歳の頃の自分はなかなか人を見る目があったのではと思いますね。誰も褒めてくれないですけど(笑)。

最後にファンの方にメッセージをお願いします。

TAKURO
1日でも早くコンサート活動を再開したいというのが正直なところで、ファンの皆さんには「みんなが恋しいです!」と伝えたいです。

HISASHIインタビュー

ステイホーム期間中はどんな日々を過ごされていましたか?

HISASHI
自分としてはコロナ禍前とあまり変わらない感じでしたね。自宅にレコーディング環境があるので、未発表のGLAYの楽曲を完成させたり。違いはコンサートができないことかな。東京ドーム公演、名古屋ドーム公演が中止になってしまい25周年の完成形が見せられなかったのは非常に残念です。でも今はお客さんの安全が最優先ですし、その意見はメンバー全員が一致してました。これが絶望的な結果ではないというのはもちろんわかっているし、今はエンタテインメントの可能性とこれからのGLAYをどう動かしていくかを丁寧に考えながら前に進んでいる感じですね。

エンタテインメントの新しい可能性と言えば、配信ライブが増えましたよね。

HISASHI
コロナはすぐには収束しないと思いますし、配信ライブという新しいエンタテインメントの形はもっと広がっていくと思っています。僕はこれをあまり悲観的に考えず、わりとポジティブに捉えている部分はありますね。

自粛期間中、HISASHIさんは「HISASHI TV」の更新も活発にされていて、最近だと3回にわたってレコーディングの過程を公開していました。レコーディングの裏側を披露した理由は?

HISASHI
たぶん多くのファンの方はレコーディングで僕らが実際に何をしているのかは知らないと思うんです。僕が「関ジャム 完全燃SHOW」に出演して「ギターは楽しいもので、弾くのは難しくないんだよ」と伝えたように、「HISASHI TV」ではレコーディングも難しいことはなくて、遊びながら楽しみながらできることを伝えたくてやってみました。今後もレコーディングやDTMの楽しさを伝えることを目標に続けていこうかと。特にこういった状況の中で楽器やソフトウェアのスキルアップは魅力的なことだと思うんです。あとレコーディングって人間くさくて面白いんですよ。

と言うと?

HISASHI
1つのフレーズに対して長い時間悩んだり、メンバーと意見を交わしたり、試行錯誤した末に最初に録ったテイクに戻ったり……そういう人間くさいところってレコーディングやコンサートのリハーサルとかで出るんですよね。毎回120点みたいな内容じゃなくて、ダメな日はダメだし。配信を60分以内に完結しようとして、途中で言い訳をしたりすることもあるし。「HISASHI TV」ではそういう素の部分を流すのも面白いかなと。

今後「HISASHI TV」でチャレンジしたいことはなんですか?

HISASHI
ゲーム配信とかやってみたいですね。いろんなことに挑戦して幅の広さを見せていきたいです。

さて先日リリースされたニューシングル「G4・2020」についてお聞きしたいのですが、HISASHIさんの作詞作曲された「ROCK ACADEMIA」はポップなサウンドと、歌詞にGLAYの歴史を思わせる言葉が刻まれていたのが印象的でした。

HISASHI
これまでも「1988」や「黒く塗れ!」などで自分のことを歌詞に書いてきたんですが、今回は音楽に対する感謝とかバンドへの感謝、置かれている環境への思いなどを全面に打ち出しました。デビューから四半世紀にわたって活動して来られたことが、この曲を作るうえでの大きなきっかけになりました。

曲の着想は何かあったんですか?

HISASHI
「彼女はゾンビ」のような“超パーティロック”にしようと思って書き始めたんですよ。イメージとしてはアンドリューW.K.のパーティロックというか、Primal Screamの「ROCKS」みたいな。50代を目の前にしてロックをやること、余裕を持ってそれを楽しんでいることを表現しようと思ったんだけど、そこに自分の思いみたいなものもどんどん入っていって。少しだけノスタルジーが入った曲になりました。

TAKUROさんはこの曲をライブで披露できるのが楽しみとおっしゃってました。HISASHIさんはWOWOWで放送された番組のインタビューで、ライブ活動が再開されたら泣くかもと話されていましたね。

HISASHI
実際はどうなんでしょうね?(笑) いつライブが再開できるかはわからないのですが、12月の札幌ドーム公演に向けて準備を進めていきたいと思ってます。その間もいろんな形でパフォーマンスを見せたいという話はメンバー間でしてるんです。TERUはすでにアプリで配信ライブをやってますし、今までとは違う形でパフォーマンスを披露する機会もあると思います。

シングルと同時に「HOTEL GLAY」の映像作品もリリースされますが、総合演出を担当されたHISASHIさんとして改めてツアーを振り返ってどうですか?

HISASHI
「HOTEL GLAY」は25周年のアニバーサリーツアーではあったけど、メンバーそれぞれが分かれて演奏する演出など新たなチャレンジを見せられたなと思っています。周年ツアーなのにハッピーな感じではないし、緊張感があってハラハラしましたね。映像を観直して、デビュー25周年を迎えてもどんどん進化していくバンドでありたいし、その可能性を大事にしながら音楽を作っていきたいと思いました。

ライブ関連でいきますと、6月に放送されたWOWOWの番組で無観客ライブをしてみていかがでしたか?

HISASHI
ライブはお客さんの前でやることが前提だと思うので、楽しかったですが不本意な部分はどうしてもありましたね。6月25日に行われたサザンオールスターズの横浜アリーナ公演の無観客コンサートは観ていて完全にやりきった感じがありましたけど、本来ライブはお客さんと一緒に過ごすことで新たな何かが生まれるものだと思ってるんです。ライブの一番の魅力は、一瞬たりとも同じ時間が訪れることはないことですから。

確かにそうですね。最後にファンの方にメッセージをお願いします。

HISASHI
GLAYのリスナーの皆さんはこういった状況の中でも、エンタテインメントの楽しみ方を知ってる人が多いと感じています。いつ完全復活するかわからないエンタテインメント業界ですけど、GLAYがサブスクが普及し始めた頃に「GLAYアプリ」を始めたように、マイナスな局面をいかにプラスに変えられるかということを考えつつ、コロナ禍の中でも新鮮なエンタテインメントを届けたいです。それと、デビュー25周年はまだ終わってないので引き続きお楽しみに。

JIROインタビュー

ステイホーム期間中はどう過ごされていましたか?

JIRO
最初は家事的なことをやってましたね。それがある程度落ち着いてからは、映像収録をするための準備をして。「GLAY MOBILE」で簡単なベース講座みたいなのをやってるんですが、これまではスタッフ2、3人にセットしてもらって俺はただベースを弾くだけだったんですけど、移動が制限されていたので自力で撮影して、編集して……映像データをスタッフに渡す形に変えたんです。その中でいかに自分が普段どれだけプロフェッショナルな人たちと仕事ができているのか、そのありがたみをすごく感じました。自宅でレコーディングもしていて、本番に近いようなテイクのものとかも録ってるんですけど、家だとなかなか集中できなくて。何より自分が録ったテイクが、いいのか悪いのかという判断がつけづらい。ちゃんとしたスタジオで、メンバーもスタッフもそろってレコーディングできていたのは本当に恵まれていたと感じてます。

なるほど。ご自宅にいる間に新たに始めたことはありますか?

JIRO
普段聴かないようなジャンルの音楽を聴いて勉強してました。主にSpotifyのグローバルチャートのプレイリストですね。それとひたすらAMラジオ聴いてました。テレビのニュースを観るのがしんどくなってしまったときにAMラジオを聴き始めて。AMラジオの番組はトークがメインなんですが、コロナのニュース以外にも都議会の選挙の話、そのほかいろんなエピソードが話題になっていて構成が面白かったんですよね。俺もラジオ番組を持っていて、もう少しGLAYファン以外にもアプローチできるようにしたいと思っていたので参考にしています。あと、テレビの中の遠い人だと思っていた芸能人や著名人の方たちが、ラジオだとリスナーに近い距離感で話されていたのが印象的で。それは自分の番組でも大事にしていかなきゃいけないと改めて思いました。

さてニューシングル「G4・2020」には、JIROさん作曲の「DOPE」が入ってます。この曲はいつ頃から制作を?

JIRO
年明けですね。アリーナツアー中にはTERU作曲の「流星のHowl」ができていて。HISASHIが正月くらいにインフルエンザで寝込んでいたときに「ROCK ACADEMIA」を作って、「めちゃくちゃいい曲ができた!」と言ってきたんですよ。その流れからTAKUROから過去の「G4」シリーズみたいにメンバーそれぞれの曲を入れた作品にしたいから、JIROも何か持ってきてくれない?と言われて作り始めました。

イメージの指定などはありましたか?

JIRO
TAKUROからは「ビリビリクラッシュメン」みたいな曲を、と言われて。ポップなんだけどマイナー調の曲をJIROに作ってもらいたいとリクエストを受けて生まれたのがこの曲です。

ストレートなロックチューンで、JIROさんらしい曲だなと感じました。歌詞はアナーキーな雰囲気かつ社会風刺が効いてますよね。何かモチーフやテーマはあったんですか?

JIRO
Netflixのドキュメンタリー番組「DOPE」ですね。ドラッグ製造をしているコロンビアの田舎の家族が、生活をするために総出でコカインを育てている様子から、それがどんどん悪い人たちの手に渡って、最終的にはドラッグでボロボロになっていく人に迫るというドキュメンタリーなんですけど、それが面白くて。サビはその番組と関連付けて書きました。

サビには「おぞましい欺瞞 秘密のROCK'N'ROLLの宴」とパンチのあるフレーズが書かれていますね。「DOPE」とはサウンドも歌詞も対照的とも言える、HISASHIさん作詞作曲の「ROCK ACADEMIA」のレコーディングはどうでしたか?

JIRO
この曲はHISASHIが細かくプログラミングしてきてくれたので、俺のほうでアレンジする範囲は狭いんですけど、そこでいかに自分らしさを出すか意識しましたね。

その“JIROらしさ”というのはご自身としてどんなものだと認識されていますか?

JIRO
HISASHIの曲における部分になりますが、彼の作る曲はデジタルなアプローチが多いのでカチッとしているんですね。そのカチッとしてる部分に跳ねのグルーヴ感とか出すと、曲がよりよくなるんじゃないかと思ってるんです。それによって、ほかのGLAYの曲とも混じりがよくなるんじゃないかなと。HISASHIの曲では毎回、サウンドにうねりみたいなものを足していければと考えていますね。

6月にWOWOWで放送された番組はひさびさのライブパフォーマンスになりましたが、何か感じるものや発見はありましたか?

JIRO
パフォーマンス中というよりは、オンエアされた映像を観てすごく興奮したんです。収録当日は、「自分たちも元気にやってるんで、ファンのみんなももうちょっと踏ん張ってね」というエールを送る気持ちでライブをしていて。放送当日はごはんを食べてから少しお酒飲んだ後にファンの方と同じようにリアルタイムで番組を観たらめちゃくちゃよくて。GLAYのメンバーLINEでも「すごくいいね」みたいなやり取りがあって、早くみんなの前で演奏したいという気持ちが高まりました。

シングルと同日には「HOTEL GLAY」のライブ映像作品もリリースされますが、“ライブ番長”のJIROさんから観て改めてどんなツアーだったか聞かせていただけますか?

JIRO
オーディオコメンタリーの収録時のことを思い出すと「氷の翼」「Into the Wild」の流れが、あのツアーの肝だった気がしますね。決して派手な曲ではないし、今までのGLAYのようにグッドメロディを聴かせる感じではないんですが、ライブにおける「氷の翼」と「Into the Wild」の2 曲は世界観のできあがり方がハンパじゃなかったんです。映像演出を含めてしっかり曲の世界観を作れたのは、今後のGLAYの強みになるんじゃないかなと思いました。普段はあまり過去の映像を観ないんですけど、今回、オーディオコメンタリーの収録を映像を観ながらやったんですよ。

やってみてどうでしたか?

JIRO
自粛明けで初めてメンバーと会ったのがこの日だったので、映像を観ないで雑談をする感じでしたね(笑)。楽しかったですよ。

改めてお聞きしたいのですが、JIROさんにとってライブというのはどのような存在のものですか?

JIRO
やはり非日常的な空間なので、以前と変わらずファンの人たちには日頃のストレスを発散してもらえる場所になってもらえたらと思っています。自分にとっては仕事の1つではあるんですけど、気持ちとしては仕事としてやりたくないんです。ライブがある日は、その日の中でステージ上の2時間半が自分にとっても最高に楽しいものであってほしい。だから前回のアリーナツアーではあまり打ち上げに参加しなかったんですよね。打ち上げに行ったらTAKUROやHISASHIが面白い話題を持ってるのでめちゃくちゃ盛り上がると思いつつ、「ステージの上が今日一番楽しかった」と思うために。

最後にファンの方にメッセージをお願いします。

JIRO
今度ライブでみんなと会えるのはいつになるのかわからないけど、次に再会したときの感動はとんでもなく大きくて、一緒に過ごす時間の大切さを実感すると思うんです。自分たちは制限ある中でみんなに楽しんでもらえる努力をしていくつもりなので、また会えるその日を楽しみにお互いがんばりましょう。

文:中野明子(音楽ナタリー編集部)

Vol.85 『REVIEW II』 HISASHI DISC Review

ベストアルバムと言いながら所謂ベストアルバムらしくない容姿の『REVIEW II -BEST OF GLAY』だが、その極め付けがこのHISASHIディスクではなかろうか。1曲目のインスト『gestalt』とラストの新曲『BLACK MONEY』を除いてはすべて録り直し。しかも、TERU以外のパートは一発録りという、スタジオライブを収録している。HISASHI命名“STUDIO LIVE inspired by HOTEL GLAY ギター爆盛ミックス!”。ツアーの合間に収録したというから、文字通り最新型のGLAYをほぼ純粋に混じりけのない状態で閉じ込めたと言っていいだろう。既発シングルを並べて“グレイテストヒッツで御座い”とばかりに発表されるベスト盤も少なくない中──というか、ベスト盤はそれでいいわけだが──わざわざ手間をかけて新しい音源を制作するところにHISASHIの熱情と、それに応えたメンバーの心意気が感じられる。所謂ベストらしくないとは言ったものの、収録曲の発表年を見ると、『FATSOUNDS』が唯一の1999年で、残りは2000年代、2010年代。TAKUROディスクがGLAY初期だとすると、HISASHIディスクはGLAY中期以降といった感じで、うまい具合にバランスが取られているのは阿吽の呼吸あってのことだろうか。

2020.1.20

gestalt
11thアルバム『JUSTICE』(2013年)収録。『GLAY ARENA TOUR 2013 “JUSTICE & GUILTY”』でもオープニングSEとして使用されたインストナンバー。映画音楽のようなドラマチックなストリングスにデジタルサウンドとギターが重なる、1980年代サイバーパンクの思想を感じさせる1曲。
ALL STANDARD IS YOU
6thアルバム『ONE LOVE』(2001年)のオープニングナンバー。“reprise”も“〜END ROLL〜”も付かない方。冒頭のTERUの歌(《思いきり人を傷つけてしまいたい~今日のNEWS達》の箇所)のバックにはサウンドが入っておらず、所謂ア・カペラで始まるところがライブらしいアレンジではある。
My name is DATURA
15thアルバム『NO DEMOCRACY』(2019年)収録。アラビアンになったりロシア民謡風になったりと展開が変化していく構成が少し複雑な楽曲だが、所謂一発録りでも原曲と印象が大きく変わらないのは確かな演奏力の証であろう。HISASHIらしいとしか言いようがないメロディも聴きどころ。
黒く塗れ!
2014年7月9日発売の通算50枚目のシングル「BLEEZE 〜G4・III〜」収録曲。ギターはもちろんのこと、ベースもドラムも歌もグイグイとドライブしてくロックチューンだ。《ナードコアでつなぐ日本カルチャー》なんてフレーズが象徴するサブカルを散りばめたリリックが、如何にもHISASHI的である。
Flowers Gone
15thアルバム『NO DEMOCRACY』(2019年)収録。1992年に発売したデモテープに収められていたナンバーだというが、こうしてスタジオライブで再現されると、インディーズ時代のGLAYの勢いと熱さをいかに巧く音源に閉じ込めたのかが分かる。1990年代の日本ロックシーンの残り香を感じる。
VERB
2008年6月11日にリリースされた38thシングル。HISASHIが鳴らすあの印象的なイントロのギターの前にベースが差し込まれているところがライブテイクらしくて良い。『Flowers Gone』と並べて聴くと、TAKUROがGLAYのために作る直情的なナンバーの傾向が何となく分かるような気がする。

everKrack
2011年10月5日発売の43rdシングル「G4・II -THE RED MOON-」収録曲。12thアルバム『GUILTY』(2013年)にも収録されている4つ打ちダンスチューンである。原曲もノイジーなギターが全体を支配しているが、このギターはそれを超えている。“ギター爆盛ミックス!”の名前に相応しい。

逢いたい気持ち
2002年7月31日にリリースされた27thシングル。オリジナルアルバムには収録されておらず、過去ベスト盤、再編集盤だけに収められてきたミッドバラード。鍵盤もストリングスも重ねられていて、当ディスクはここで一旦テンションが落ち着く感じだが、単音弾きのギターは随所で印象的に鳴っている。

LET ME BE
『GLAY 15th Anniversary Special Live 2009 THE GREAT VACATION in NISSAN STADIUM』のTSUTAYA限定先行予約の際に配布されたシングル。2010年には「LET ME BE Live Ver. 2009-2010 at makuhari messe」と併せて配信されており、バンドバージョンではこれが2度目のライブバージョンの音源化となる。

THINK ABOUT MY DAUGHTER
6thアルバム『ONE LOVE』(2001年)収録。エッジーなギターサウンドと、キャッチーでありながらもどこか愁いを秘めたメロディラインとの融合は実にGLAYらしい。初披露から20年近くが経ち、愛娘を思う気持ちが綴られた歌詞を当時とは違った想いで捉えるリスナーも多いのではなかろうか。
笑顔の多い日ばかりじゃない
2004年12月8日 発売の32ndシングル「ホワイトロード」C/W。それ以外では、『rare collectives vol.3』と『MUSIC LIFE』のBALLADE BEST☆MEMORIES(2CD盤G-DIRECT限定商品のみ)にしか収録されていないので、ポピュラリティ高めな楽曲のわりにはレアなナンバーと言えるかもしれない。
FATSOUNDS
5thアルバム『HEAVY GAUGE』(1999年)収録。2019年の25周年記念ライブ『GLAY 25th Anniversary "LIVE DEMOCRACY" Powered by HOTEL GLAY』の2日目“悪いGLAY”において3回連続演奏されたことも思い出される。このテイクは、ボーカルもワイルドで、かなり狂暴に仕上がった印象。
Runaway Runaway
8thアルバム『THE FRUSTRATED』(2004年)収録。イントロ~頭サビ、Aメロ、Bメロ、そして再びサビと、HISASHIのフレーズが変遷していく様子がありありと分かって、ギターキッズにはロックギターの教則本的な楽しみ方もできるだろう。伸びやかで開放的な旋律のギターソロもとても良い。
Bible
2012年5月23日リリースの45thシングルで、12thアルバム『GUILTY』(2013年)にも収録。ポップミュージックに時代を切り取った歌詞を乗せたロックの見本のような1曲。原曲ではピアノだったイントロが、こちらも“ギター爆盛ミックス!”の名の通り、ヘヴィなギターへと変貌している。

BLACK MONEY
『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』にて初披露されたHISASHI&JIRO作詞、JIRO作曲のナンバー。その後、ライブでしか披露されていなかったが、2019年11月に配信され、これが初フィジカル化となる。HISASHIとJIROのロックへの敬愛が感じられる“Nirvana meets Bach”なヘヴィチューン。

文:帆苅智之

Vol.84 『REVIEW II』 TAKURO DISC Review

TAKUROディスクは人気曲を網羅。万人が“THE BEST OF GLAY”と認める内容ではあろう。『HOWEVER』『BELOVED』『誘惑』『SOUL LOVE』『サバイバル』『彼女の"Modern…"』etc…「売上枚数を合算したら一体何千万枚になるんだろう!?」と思うようなヒットパレードだ。しかし、これが決して単なるヒットコレクションでないことは強調しておかなければならないだろう。まず、これが初音源化となる新曲2曲、Azumi(Wyolica)氏によるボーカル再録1曲が収録されている点。CMソングとしてオンエアされている『Into the Wild』と、韓国を中心に活躍するグローバルボーイズグループPENTAGONとコラボレートした『I'm loving you』(GLAY×PENTAGON)、そして『氷の翼 feat. Azumi(Wyolica)』がそれである。いずれも最新型のGLAYと呼ぶに相応しい楽曲であり、これらを冒頭3曲に置く辺りに、本作が所謂ベスト盤ではないことをよく示している。さらに、これらの新曲に続く既発曲は、シングルや初出アルバムの再録ではなく、“Anthology”シリーズに収められたリミックスバージョンだ。これらのバージョンを聴いた方ならお分かりだと思うが、各パートのバランスが大分変っており、名エンジニア、Michael Zimmerlingの職人仕事を堪能できること間違いなし。

2020.1.6

Into the Wild
SUBARU『レヴォーグ』のCMとしてオンエアされている新曲。これが初音源化である。ややダークでスリリングなイントロ、アーバンな雰囲気のサビと、これまでのGLAYとは少し異なる感触で、TAKURO曰く「次のアルバムの核になりそうな曲でもあったので、ここに入れたことを後悔してます(苦笑)」とか。
I'm loving you
こちらも新曲の初音源化。韓国のボーイズグループ、PENTAGONとコラボレーション曲。「紅と黒のMATADORA」などラテンサウンドを取り入れた楽曲は過去にもあったが、かつてないほどにスパニッシュが全面に出ている。久々の本格的なコラボ楽曲であることも併せて、聴き応えはかなり新鮮だ。
氷の翼 feat.Azumi(Wyolica)
15thアルバム『NO DEMOCRACY』(2019年)収録曲の再録バージョン。WyolicaのAzumi氏をゲストボーカルに迎えている。アウトロで素晴らしい響きを聴かせるトランペットとブルースフィーリング溢れるギターに、TAKUROのソロワーク『Journey without a map Ⅱ』の成果を感じる。


HOWEVER
1997年8月6日発売の12thシングルで、GLAY初のミリオンセラー作品。これ以降の楽曲はAnthology盤においてリミックスされた音源を収録しているが、この『HOWEVER』はストリングスが抑えられていたり、全体的にベースが前に出ていたりと、よりバンドらしさが強調されている。

BELOVED
1996年8月7日発売の9thシングル。3rdアルバム『BELOVED』(1996年)収録曲で、アルバムに先行してリリースされた。こちらもシングル版に比べて各パートのバランスが微妙に変わっている。TERUのコーラスが大きめに重ねられてサビの聴き応えが随分と異なっている他、間奏のギターも別ものの印象。

誘惑
1998年4月29日発売の13thシングルで、1998年度のオリコン年間シングルランキングでは1位となったナンバー。4thアルバム『pure soul』(1998年)に収録している。サウンド全体がシングル版よりも奥行きを増した感じで、ここ数年GLAYのライブで聴いてきた『誘惑』により近付いた雰囲気のリミックス。

SOUL LOVE
1998年4月29日発売の14thシングルで、4thアルバム『pure soul』(1998年)にも収録。同時発売であった「誘惑」とで2週連続オリコン1位、2位を独占した。ポップさにおいてはGLAYのシングルで1、2を争うナンバーであろう。何度聴いても《通り過ぎる雨の向こうに夏を見てる》のブリッジは秀逸。

春を愛する人
3rdアルバム『BELOVED』(1996年)収録曲で、1997年5月14日発売の11thシングル『口唇』のC/W。初めて発表された時からシングル表題作に負けず劣らずの人気曲であった。音の過不足はないが明らかに聴いた感じが原曲と異なり、これもまたリミックスの妙がよく分かるバージョンだ。
口唇
1997年5月14日発売の11thシングルで、3rdアルバム『BELOVED』(1996年)にも収録。GLAY初のオリコンシングルチャート1位を獲得したナンバーである。疾走感あるリズムセクション、ソリッドなギターサウンド、セクシャルなリリックで、90年代邦楽ロックを代表する1曲。

BE WITH YOU
1998年11月25日発売の15thシングルで、5thアルバム『HEAVY GAUGE』(1999年)にも収録。ピアノとストリングスが控えめな印象のリミックスである。TERUの声で歌われるサビの《あなたに会えた事…》が絶品なのは言うまでもないが、A~Bメロと徐々に昂っていくようなアレンジもいい。

a Boy~ずっと忘れない~
1996年11月11日発売の10thシングルで、こちらも3rdアルバム『BELOVED』(1996年)からの先行シングル曲。郷愁感がありつつ、伸びやかに広がっていくサビメロへの歌詞のハマり具合が尋常じゃない。特に《したたかに産まれ生きてく 子猫の様に》は何度聴いても完璧だと思う。
カーテンコール
3rdアルバム『BELOVED』(1996年)収録。前半はピアノとストリングスで構成され、後半からそこにバンドサウンドが重なっていく。前半と後半ではまったくと言っていいほどサウンドの表情が異なるっているにも関わらず、そこがシームレスに繋がっていくのはメロディの力強さに依るところだろうか。
サバイバル
5thアルバム『HEAVY GAUGE』(1999年)収録曲で、1999年5月19日にはビデオシングルとして発売(本作はオリコンにおける日本でのミュージック・ビデオ作品の歴代売上1位)。Aメロでのややアバンギャルドなアンサンブルが開放的なサビへと続いていく様子が、楽曲のテーマにマッチしている。

彼女の"Modern…"
1994年11月16日発売の3rdシングル。メジャーデビューアルバム『SPEED POP』(1995年)に収録。シングル発売時のオリコン順位が芳しくなかったことで、もっと多くの人に聴かせたいと思ったことが『REVIEW-BEST OF GLAY』(1997年)を制作するきっかけになったという。

文:帆苅智之

Vol.83 『REVIEW II』 JIRO DISC Review

シングル表題作がほとんどない上に、過去発表されたベスト盤にも収録されていない楽曲が多く、HISASHIをして「GLAYの光が当たってない面がよく出ている」と言わしめたのが、このJIROディスク。GLAYのライブのセットリストを作成しているのがJIROであることは、これをお読みの皆さんはよくご存知だと思うが、JIRO曰く「初めて見に来た人がいるかもしれないし、十何年ぶりに来た人がいるかもしれないし、いろんな思いを持っている人が来るから、いろんなことを考えなくちゃいけないんですよね」とのことで、逆に言えば、そこではJIRO自身の趣味嗜好はあまり反映されていないことになる。しかし、この『REVIEW -BEST OF GLAY-』では、他のメンバーが選ぶディスクがあることもあって、JIROは自由に選曲。個人的に好きな曲を選んだという。とは言え、勝手気ままなチョイスではないことは、これまたよく分かるリストではあろう。曲調や尺の関係でライブでの置きどころが難しい楽曲をここぞとばかりに拾い上げてきた印象はある。そんなJIROの“GLAY愛”を感じさせると共に、しっかりと起承転結とも言うべき起伏が計られた曲順であることも見逃せない。見事な再編集盤である。

2019.12.20

Scoop
2016年1月27日発売の通算53作目のシングル『G4・IV』と、14thアルバム『SUMMERDELICS』(2017年)に収録。作曲者のJIROは当初THE PREDATORSに持って行こうかと思っていたところ、TAKUROから“それはちょっと困る”と止められたという逸話を持つアップチューン。


SAY YOUR DREAM
2009年3月4日発売の40thシングル。現在までのところ、GLAYのシングル表題曲としては最長尺の12分を超える組曲的なナンバーである。「グロリアス」から脈々と続く過ぎ去った日々への回顧と、「I'm in Love」に代表される家族とのつながりが共に綴られた歌詞が大作に相応しい。

夢遊病
6thアルバム『ONE LOVE』(2001年)収録。歌詞は《人はきっと夢に 犠牲を払って 宝物を見失う》や《激しく揺れた思いの果てに 死ねないでいた》と少しドキリとさせられる内容なのに、メロディとリズムはポップというところが何ともGLAYらしい。埋もれさせるには惜しい秀曲のひとつ。
YOU
2014年7月9日発売の50thシングル『BLEEZE 〜G4・III〜』に収録。Aメロ、Bメロの歌のキーも低めで、派手さこそないが、楽曲全体をグイグイと引っ張っていくベースラインに不思議な高揚感が感じられる。《キミが笑う/それだけでいいよ、多くのことなど望みはしない》との歌詞も力強い。
Apologize
10thアルバム『GLAY』(2010年)収録。単音弾きのギターとシルキーな女性コーラスが象徴する抑制の効いたアンサンブルを中心としなからも、エモーショナルなサウンドが要所々々で決まるアレンジにロックバンドの矜持を見る。語るように祈るように歌うTERUのボーカルも素晴らしい。

ゆるぎない者達
7thアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』(2002年)収録。メロディも歌詞もアレンジも申し分のないバラード。原型は2000年頃にあったというから、凡そ20年前にこのクオリティが発揮されていたことに驚かされる。当時のGLAYのポテンシャルを改めて知ることができる好例でもある。
時の雫
2004年1月28日に発売された29thシングルで、8thアルバム『THE FRUSTRATED』(2004年)にも収録。本来TAKUROがとある女性アーティストに提供する予定だった曲を、JIROの一声でGLAYの楽曲としたという経緯がある。伸びやかで、それでいて力強いメロディが印象的だ。

Friend of mine
7thアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』(2002年)収録。TAKUROは“この曲はここじゃなかったら居場所がなかった”と今回のベスト盤の意義を象徴するナンバーとして同曲を挙げている。ゴスペル~ソウルというアメリカンな要素を泥臭くなくポップミュージックに昇華している。
卒業まで、あと少し
こちらも7thアルバム『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』(2002年)収録曲で、2002年2月27日発売の25thシングル『Way of Difference』のC/Wでもある。間奏でのツインギターや、後半でボーカルの主旋律の絡むギターに、ロックバンドとしての意志が感じられるミッドバラード。
TIME
2000年11月15日発売の21stシングル『Missing You』C/W。コアなGLAYファンなら、この楽曲を作った時のJIROがどんな心境であったのかはご存知かと思う。《蜃気楼の中 出口をさまよい求めて》の歌詞は今も切ない響きを持つ。それ故にJIROにもGLAYにも重要なナンバーと言える。
REIWADEMOCRACY
15thアルバム『NO DEMOCRACY』(2019年)収録。オープニングSE的な位置付けとも言える楽曲を、オリジナルと同様、次曲とセットで収録している点にJIROの愛着を感じる。本ディスクでは、『TIME』から『反省ノ色ナシ』以下へのブリッジとして機能していると考えられるのがおもしろい。
反省ノ色ナシ
BPMも決して速くなく、ストリングスやフルートなどバンド以外の音もふんだんに取り込んでいるのだが、それでいてロックバンドらしいダイナミズムを損なうことなく、聴き応えはしっかりポップ。ベテランの域に入ってきたGLAYの貫禄を感じさせるナンバー。流石最新アルバム収録曲だ。
君にあえたら
2011年12月14日発売のミニアルバム『Hope and The Silver Sunrise』、ならびに12thアルバム『GUILTY』(2013年)に収録。東日本大震災後に作られたナンバーで、その影響が色濃いと言われる。『GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary』のアンコール1曲目で歌われた。

lifetime
14thアルバム『SUMMERDELICS』(2017年)収録。オリジナル盤同様、ラストに置かれて当ディスクを締め括る。《苦しい時にほら 流れるこの MUSIC/次にまた会えることを願って》との歌詞が、改めてライブバンドとしてのGLAYの本懐を示しているようで、JIROの心意気が伝わってくる。
文:帆苅智之

Vol.82 『REVIEW II』 TERU DISC Review

第41回日本レコード大賞ならびに第32回日本有線大賞受賞曲である『Winter,again』を始め、シングルとして初めてチャートトップ10入りを果たした『グロリアス』、最新アルバム『NO DEMOCRACY』収録曲の中で “GLAYの新たなる名曲”との呼び声も高いTERU作詞作曲の『COLORS』など全14曲を収録。90年代、00年代、10年代それぞれから、比較的バランスよくチョイスされている印象のディスクだ。函館の“G4 Space”を訪れるファンの中には、GLAY公式アプリ“GLAY”でTERUが作成したプレイリストを参考にオリジナルプレイリストを組み立て、それを聴きながら函館の街を散策している人たちも多いそうで、そのことを聞きつけたTERUが「函館で聴いたらもっと函館を感じることができる曲」を選んだという。歌詞を含めてTERUの思い入れが深い曲ばかりと言うことで、本人もこれらのナンバーを聴くと函館を感じるそうである。メロディアスなバラードが多いように見受けられるのはボーカリストならではの選曲と言えるだろうか。また、雪や冬をモチーフにした曲がありながらも、通して聴くと日なたの匂いがするようなところにTERUらしさがあるのかもしれない。

2019.12.09

COLORS
父と子の関係を子の視点から綴ったミディアムバラード。TERUの父親に対する衒いのない想いがメロディからも溢れ出ている、まごうことなき名曲である。2019年7月2日発売のシングル『G4・V-Democracy 2019-』と、15thアルバム『NO DEMOCRACY』(2019年)に収録。

Winter,again
1999年2月3日発売の16thシングル。5thアルバム『HEAVY GAUGE』(1999年)にも収録。GLAYのシングルで最大の売上を記録しており、最も知名度の高いGLAYナンバーかもしれない。TAKUROがイントロのイメージを“雪虫がチラチラしている感じ”とメンバーに伝えたのは有名な話。

ホワイトロード
2005年1月にリリースされた『-Ballad Best Singles- WHITE ROAD』の先行シングルとして、2004年12月8日に発売された32ndシングル。《振り返れば故郷は場所ではなくて あなたでした》という歌詞が示す通り、故郷である函館を思って作られたナンバー。凛としたサビメロがとにかく素晴らしい。

グロリアス
1996年1月17日発売の8thシングル。2ndアルバム『BEAT out!』(1996年)収録。GLAYのブレイクのきっかけとなったと言っても過言ではないナンバーのひとつ。ギターリフやBメロのドラムにグラムロックの匂いが感じられて、発表当時のGLAYのロックバンドとしての意地を感じることができる。

時計
淡々と進むコードに乗ったメロディが、徐々にエモーショナルに展開していく様子が、歌詞の内容とも見事にリンクした逸品。2013年7月24日発売の通算48枚目のシングル『DARK RIVER/Eternally/時計』の他、55thシングル『WINTERDELICS.EP~あなたといきてゆく~』(2017年)にも収録。
ずっと2人で…
メジャー1stアルバム『SPEED POP』(1995年)収録曲で、1995年5月17日に5thシングルとしてリカットされた。結婚するTERUの姉のためにTAKUROが書き下ろした曲であることはファンならばよくご存知だろう。今でも結婚式でよく使われているウェディングソングの定番ミッドバラード。

Life~遠い空の下で~
1994年6月15日発売の2ndシングル『真夏の扉』C/Wで、メジャー1stアルバム『SPEED POP』(1995年)にも収録。最初期のナンバーではあるが、全編を支配しているアルペジオギターのループ、乾いた感じのアコギ、Bメロや間奏で独特の動きを見せるベースなどサウンド面での聴きどころも多い。
HELLO MY LIFE
1999年2月3日発売の16thシングル「Winter,again」のC/W。全体には春を感じさせる明るく軽やかなナンバーではあるものの、《春の訪れを知らせる様な風とイナ光り》や《季節はずれの粉雪が舞う》という歌詞と連動するように、サビ終わりや間奏でやや暗めのサウンドを注入しているのが心憎い。
はじまりのうた
TAKUROをして「俺にはこういう曲は絶対に作れない」と言わしめた100%陽性の応援ソング。ハツラツとしたTERUのボーカルに元気をもらえる。2018年11月14日発売の2019年7月2日発売のシングル『G4・V-Democracy 2019-』と、15thアルバム『NO DEMOCRACY』(2019年)に収録。

Eternally
2013年7月24日発売の通算48枚目のシングル『DARK RIVER/Eternally/時計』に収録。A、B、サビのメロディそれぞれにひと工夫が加えられている印象。加えて、歌詞には徹底して力強く前向きなフレーズが並んでいて、GLAYのバンドとしての貫禄を感じられるラブバラード。傑作!

生きがい
5thアルバム『HEAVY GAUGE』(1999年)収録曲。頭打ちの軽快なリズムで始まるナンバーだが、ロックバンドらしいワイルドさ、ヘヴィさも内包。親しみやすいメロディだけに、《僕は独りだ 祈るべき神も祈る言葉もとうに無いさ》《疲れはてた僕は今死にゆく日を思い》などの歌詞が突き刺さる。
あの夏から一番遠い場所
8thアルバム『THE FRUSTRATED』(2004年)収録曲。派手なナンバーが多い同アルバムの中にあってやや隠れた印象はあったが、改めて聴くと、柔らかいメロディが躍動感を帯びて昇華していく様子が素晴らしく、まさに“隠れた名曲”と呼ぶに相応しい。独特の郷愁感を惹起させる歌詞もいい。
カナリヤ
3rdアルバム『BELOVED』(1996年)収録曲。JIROの作るやわらかいメロディが早くからファンの間で名曲認定されていた楽曲。歌詞にある《レンガを敷いた坂道にある海沿いの店》は残念なことにすでに閉店したそうで、まさしく《めぐる季節はいつか お互いをセピア色に染め》たことになる。
すべて、愛だった(Acoustic Version)
2004年8月4日に発売された31stシングル『Blue Jean』のC/W。『rare collectives vol.3』(2011年)に収録されたバンドバージョンではなく、こちらを選んだということは、ストリングス・アレンジと、歌メロ&ハーモニーをじっくり味わってほしいという気持ちの表れだろう。
文:帆苅智之

Vol.81 TAKURO WEBインタビュー

デビュー25周年のテーマを【GLAY DEMOCRACY(※1)】として、7つの公約を掲げ、それを果たすべく活動を続けるGLAYだが、その公約の中で大きな“核”となるのは、やはりオリジナルアルバム『NO DEMOCRACY(※2)』の存在だろう。ファンと共に作り上げるアニバーサリーイヤーを【GLAY DEMOCRACY】と名付け、アルバムを『NO DEMOCRACY』と名付けたのはなぜだろうか。アルバムのマスタリングを終えたばかりのタイミングでTAKUROに、その真意と、アルバムに込めた思いを聞いた。

2019.10.17

【GLAY DEMOCRACY】の中の『NO DEMOCRACY』。まずは【GLAY DEMOCRACY】の中でのアルバム『NO DEMOCRACY』の意味から教えて下さい。

TAKURO
我々は、どこまでいっても、どこを切っても、4人それぞれが一票の投票権を持つという“民主的な活動”をしてきた自負があります。だからこのタイミングで、音楽業界の中だけのワードで表現するよりも、ちょっと大風呂敷を広げてもいいかなと思い、名付けました。逆にこの言葉を使ったことで、色々見えてきた部分がありました。時代も令和に変 わって、改めて平成という時代を見直して、新しい時代に対してどうやってバンド活動をしていこうか、どんな音楽を作っていこうか、ひいてはどうやって生きていこうかということを考えました。それをアルバムの中に核として入れたいと思い、平成が始まる前の年にGLAYができて 平成の時代を走り抜け、新しい時代になっても活動している、そういったことを感じさせる、“大人の”アルバムになればいいな、と。大人というか、ちゃんと長く活動してきた者たちだけが語れることがあるはずだから、曲集めをしていた時から、“言葉のアルバム”にしたいと思っていたので、メンバーに「皆さんの本音を聞かせてください」と投げかけました。この15年間くらいは、色々なクリエイターとコラボ、タイアップをさせてもらって、アニメや映画はもちろんですが、他の芸術の文化に対して楽曲を提供することが増えていきました。例えばHISASHIが書いたアニメ『クロムクロ(※3)』のテーマソング『デストピア』や、TERUがアニメ『ダイヤのA(※4)』の一連のテーマソングを提供したり、自分のこだわりプラス、ひとりでも多くの人に受け入れてもらえる言葉を紡ぎ、アニメのテーマソングの“マナー”として、彼らがきっちりとやってきました。でもアルバム 『SUMMERDELICS(※5)』の中で、一番“本音”が出ているのは、JIROの『lifetime(※6)』だったと思います。みんなもう一度自分達の言葉に立ち返って、本来バンドが叫びたいこと、伝えたいこと、世の中に言いたいこと、自分たちが言いたい言葉を取り戻しましょう、と言いました。そこから出来上がってきたのが、TERUの『COLORS(※7)』です。

『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん(※8)』の主題歌になっている、父と子の関係性を描いた「新たな名曲誕生!」というファンからの声も多い曲です。

TAKURO
最初この曲を聴いて「これこれ!」という感じでした。俺はTERUとTERUのお父さんの関係を、12歳の頃から見ているけど、やっぱりそういうことなんだって納得しました。中学校くらいから24~5歳まで、ほとんど会話しなかったと聞いて、俺にはとても仲のいい親子に見えたけど、『COLORS』を聴いたとき、“勝ったな”と思いました。『SOUL LOVE(※9)』のイントロをHISASHIが弾いた時もそう思ったけど 『COLORS』の歌詞を読んだ時も、“勝ったな”と。みなさんからの評判がいいのも、「待ってました!」と思ってもらえたからだと思うし、一人の作家が、経験や技術を伴って成長していって、意図してキラーフレーズを作ることができる“職人”になったと思うけど、このサビは、彼の“本音”が剥き出しになっていて、そこがすごくいいいと思う。

シングル『G4・Ⅴ(※10)』は、結果的にTERUさん曲が多かったですよね。GLAYのいわゆる“王道”と呼ばれる曲はTAKUROさん作のものが多いですが、『COLORS』も“王道”という言葉が似合う曲だと思います。

TAKURO
元々彼自身が“王道”じゃないですか、人間が(笑)。ピカチュウ、ドラえもん、 TERUみたいな、ヒーロー的な佇まいでしたよ、昔から。GLAYも決してサブカルのヒーローになりたいという佇まいでもないじゃないですか。どこまでいってもまっすぐで、HISASHIのそういった面をかき消すほどのTERUの明るさというか、そういう幾重にも重なった構造が面白いから、GLAYはその時々によって、色々な表情を出せるというのは、後々発見したことです。新しい時代を迎えて、今まで抱えてきた問題や議題を、後回しにしないでまっすぐ王道を突き進んで、そして何年か経ったら、また新しい音楽に挑戦という方向を見据えて作ったアルバムです。

『SUMMERDELICS』という、バンドとしての裾野をさらに広げて、面白いことをやろうという、強い意志を感じるアルバムの後、どんなオリジナルアルバム、さらに25周年というアニバーサリーの核となる作品になるのか、楽しみにしていました。シングルはもちろんですが、新曲がどの曲も素晴らしかったです。

TAKURO
嬉しいです。作ったものとしては、最終的にはその言葉をいただけることに尽きますよね。振り切ったというか、とりあえず俺を信じてくれじゃないですけど、そこをみんなすごく楽しんでくれたのがよかったです。バンドであるということを改めて実感して、それぞれのメンバーの個性、長所を伸ばしてきて、でも自分たちは東京に何をしたくて出てきたのかなということを、改めて考えました。それはもちろんバンドをやるためで、世の中のトレンドは色々あるけど、やっぱりスタジオの中にいる時だけは、結成当時の衝動に対して誠実であって、いわゆるトレンドのようなものを一番に考えるのはやめようと。なぜなら、25年やってきて、流行というものは3、4年で変わっていく中で、いくつかの本当に変わらないものに接することができて、他のアーティストなら、それに対して、その時の力強さとか頼もしさとかをちゃんと使えたりするんだけど、GLAYというバンドは、どうしても4人でワイワイ楽しみながらやるバンドなので、GLAYをGLAYたらしめるものを意識して、“言葉のアルバム”にしたいと思ったのが、このアルバムを作ろうと思った、最初の動機ですね。

前回、『愁いのPrisoner(※11)』の発売タイミングでTAKUROさんにインタビューした際、流行に合わせるのではなく、今できることをやる、書けることを書いていくと言っていました。まさにこのアルバムにつながっているというか、結実しているということですね。

TAKURO
突き詰めていくと、純度が高いとか、そういうことなのかもしれないですね。亀田(誠治)さん(※12)と共に作り上げた3枚の中でいうと、この作品が一番今の自分たちと言葉の距離が近い感じがします。若さや、いわゆる恋の切なさみたいなものと違う形の切なさを、大人になればなるほど知るけれど、一人で生きていくことは寂しいけれど、多分2人でいても3人でいても、寂しさとか切なさは絶対あって、それは歳を取れば取るほど理解できるというか。10代20代30代では感じられなかった切なさと、切なさの間の感情みたいなものを歌に、音にできないかなっていうのは思いますね。

恋愛だけではない、大きな愛を今のGLAYが語り、歌うと、圧倒的な説得力を纏って飛び込んできます。

TAKURO
ご存知のようにエンターテインメントの幅もどんどん広がり、ユーザーが音楽を聴く環境も大きく変化していって、そんな中で、音楽で生き抜いていくには、究極のことを言うと、GLAYの音を聴きたければ、GLAY のところに行くしかないと聴き手に思ってもらうしかない。替えが利かないものが、これからもっと望まれていくんだろうということは、この10年で特に感じることです。あらゆることがスマホ上でできてしまい、世の中が圧倒的に便利になりました。とてもいいことだと思う。でも俺たちがレコードとかCDの業界の中で謳歌した黄金時代は、違った形で、違った場所にあったはずで。俺らはそういうところを垣間見れただけでも、ラッキーだし、たぶん今のロックスターは、IT社長だと思うんですよね。かつてのロックスターたちの居場所は、今はなかなかないけど、それでも自分たちが惹かれるものがそういった音楽の世界、ロックミュージックだとするならば、改めてGLAYしか作れないものを、本当に真面目に取り組んでみようというのは、テーマとしてありました。『HEAVY GAUGE TOUR(※13)』の時に歌った『Savile Row~サヴィルロウ三番地~(※14)』の歌詞に<今 胸に響くのは甘い歌じゃない>という一節があって、それを聴きながらなんという縁だろうって思って。『HEAVY GAUGE(※15)』から20年経って、当時からもちろん甘いラブソングはみんなが求めていて、そういう歌が溢れていて、でもそうじゃない歌も欲しくて、だから自分達でちょっと苦味が効いた曲を作ったのだと思います。

少し自分に余裕が出てきたら、人の心を思いやったり、人の幸せを祈る曲を書きたいということも、前回のインタビューでは言っていましたが、まさに今がそうですよね。

TAKURO
そうですね。世の中に悲劇がたくさんある中で、自分の周りにだけはとか、自分にだけは起きないということは、絶対考えられないことだし。せめて対峙する悲しみに対して、自分の感情をどう収めるか、それが大人になるということだろうし、それが代々親が望む、次の時代を生きる者たちへの願いだと思う。一人で生きる術を見つけるというか、他者ときっちり向き合って、お互い理解し合うこととか、今本当にそのことしか望んでいないです。自分の思う通りに生きるとか、そんなことはどうでもよくて、俺たち両親がいなくても一人で生きられる術を見つけたその時に初めて、自分の生きてきた意味とか役割とか、そういうものが自分の中でストンと腑に落ちるような気がする。今、自分がいなかったら、子供はどうするんだろうって思った時に、普段から相手のことを思いやれというのは、自分にそれが返ってくるってことだから。最終的に「生きろ」ってことなんですよね。

『NO DEMOCRACY』に収録されている楽曲、特に新曲について、その込めた思いを教えて下さい。まずは1曲目の『反省ノ色ナシ』は、シニカルな言葉が並んでいて<平成がせせら笑ってらぁ>と、GLAYが生きてきた平成時代を、憂いているようです。

TAKURO
“言葉のアルバム”にしたいということで、割と今までの使い方じゃなかったり、今まで正面から見ていたりしたものを、同じ事柄だけど斜め、後ろから見てみようとか、そういう意味では「今なんて言った?」って、引っ掛かってもらえると嬉しいです。むしろ自分が引っ掛かる言葉をたくさん集めた気がします。この歌詞を書いたのは1~2年前で、ちょっと話が逸れるかもしれませんが、平成という時代をもう一回自分の中で整理しようと思って、色々な本を読んで、色々な識者に会って話を聞く中で、「平成はなぜ失敗したのか」ということをテーマにした経済の本に出会いました。不沈艦とさえ呼ばれたある大企業が破綻する原因が、ボスが嘘をついたことがきっかけで、すでに死に体の会社なのにそれを偽って、社会と社員を騙し続けていました。嘘をつくな、挨拶はちゃんとしろという、幼稚園生が習うようなことが、当時の大企業のトップはできなかった。今もそうなのかもしれませんが。本当のことが言えず嘘に嘘を重ねて、国家を揺るがす倒産劇になってしまうという。でもそれは経済だけの話じゃない。会社経営云々ではなく、嘘をつかないことを前提に、全ての事が回っているという大前提が崩れてしまいます。そういうことを含めて、今回のアルバムは、GLAYにおける壮大な平成史でもあるなと。平成という時代とは?という答えを、誰かのエッセイで見つけて。それは、「平成という時代は、平成に生まれた者には多分理解できないし、平成という時代が何であるのがわかるのは、30年後ぐらいだろう。何故ならば、明治時代を作ったのは江戸の人だからだ」というものでした。昭和生まれの、血気盛んな30、40代の方達が、がむしゃらに作った時代が平成だとしたら、これからどういう答えを導き出すのかを、人が理解できるのは30年後ということです。それを読んだ時に、なんで去年の『紅白歌合戦』のトリが、ユーミンとサザン(※16)だったのかが、なんとなく理解できました。あれが平成の締め方なんだって。それはもう紛れもなく、昭和の青春を謳歌した人たちがBGMにしたのはユーミンとサザンだから、彼らが締めくくったんだなって。それはただ大物だからという理由ではなくて、ちゃんと理由があったんです。平成の歌姫じゃダメだったんだ、と思って。平成の歌姫がトリを務めるのは、多分令和が終わる時なんだと思う。そういうことなのかもしれないなと思って、そんなエッセンスが今回のアルバムには、ものすごく入っています。

『反省ノ色ナシ』が1曲目で、ラストに『元号』を置くことで、希望を残したいというか、希望を感じたいっていう意図があるのでしょうか?

TAKURO
いくら明るい言葉を並べてメッセージにしたところで、それを前向きなメッセージと捉えるかそうじゃないかは、受け取る側の感性で、むしろそこを信じたいし、そこに委ねて、10年後に改めてその感想を聞きたいというか。デビューして、メディアに出るようになると「いいね」とか「よくない」とか言われて、その中で落ち込んだり喜んだりの繰り返しで。でもある時から、当時評判が悪かった曲、嫌いだって言われていた曲が「私嫌いだったんですけど、今30代後半になって理解できました」とか、「急に好きになりました」という感想が増えてきて。例えば子供の頃嫌いだったものが、大人になって食べられるという、人間の曖昧な基準みたいなものが愛おしくて、だから、ポジティブにいこうぜとか、熱血的な事は一行も書いてこなかったんじゃないかな。例えば、俺達がいなくなって、GLAYの音楽だけが残ったとして、それが何かに迷った時に何かしらのヒントになればどうぞ、という感覚なんです。もっというと、今、俺がこの世から去ったとしても、子供達が人生で迷ったら、GLAYの音楽を聴けば、俺が教えたかったことが全部入っているからそれで大丈夫、という気持ちで、あらゆる歌詞を書いています。だから時々馬鹿野郎って言ったっていいし、やっぱり人を愛するって大切だよねって繰り返し言うし。多くの事はできない俺ができることは、とりあえず半径2~6m にいる人を守って、それでもっと男の器が広がった時に、半径10mまでの人のことを救い、死ぬまでには15mまでに広がっているといいなっていう事なんです。大体の人たちはそういう形で死んでいくと思うから、地球の裏側の恵まれない人たちに思いを寄せることはできても、具体的な行動というのは、いつも迷うものだったりするし、せめて自分が思ったことを徒然に書いて、それが次の世代の人たちが迷った時の、何かしらの道標になればいいなという思いで、音楽と向き合っています。

『反省ノ色ナシ』はJIROさん曲です。

TAKURO
JIROさんから曲を頂いて、好き勝手アレンジさせて頂きました(笑)。彼は「いや、俺の曲じゃない」って言ってました(笑)。原曲はテンポももっと速くて、JIROらしい『SHUTTER SPEEDSのテーマ(※17)』のような速さでした。でもトータルで考えた時に、そういうタイプの曲もあるので「こういうアイデアがあるんだけど」ってことで、スタジオで皆でワイワイやっていたら、こうなったという。

先ほど、地球の裏側の恵まれない人たちに思いを寄せる事はできても、と仰っていましたが、8曲目『戦禍の子』がまさにそうですね。悲しみとでも優しさに満ちた言葉が並んでいて、胸が締め付けられます。

TAKURO
この曲はSUGIZO(LUNA SEA/X JAPAN)さん(※18)が、シリア難民の支援活動に取り組んでいるのを見ていて、色々なお話を聞かせていただいているうちに、日本における子供の貧困っていうのも、実は隠れた数値ではものすごく高いらしくて、そういうことも同一線上にもってきたいと思いました。どれくらい悲劇かっていうのは、当事者にしかわからないので、「難民は不幸せで、日本にいたらとりあえず幸せでしょ?」ということでもないなって。誰かの痛みはその人にしかわかり得ない、そうなってくると、壮大な地球の裏側のことを歌っているようで、実はすごく身近なことを歌ってるような気がしてきて。

<今度生まれてくる時は ちゃんと愛してもらうんだよ><君が大人になったら ちゃんと愛してあげるんだよ>と、上からでも下からでもない、普通の人の目線で描いている言葉が胸に突き刺さります。

TAKURO
そうですね、歌にあるように、生まれ変わったらという考え方があったとしても、そこには今の俺という形ではない、逆に俺がどこかの紛争地の子供に生まれ変わるかもしれないし。そういう意味では、俺は死の向こう側は全くのゼロ、無、って考えているので、来世に期待とかはあまりしていません。それでもそういう環境に置かれている子供達の気持ちはわからないけれど、どんなにひどい親だとしても、子供って許してしまうんでしょうね。その切なさは、恋愛とか仕事とかとは全く別の、自分の子供に関係あるなしに関わらず、きついですよね。最後の一節の、生き抜いた末に大人になったのなら、もし自分がどんなことをされても、ひどいことを他にするような人間になるなということが、もしメッセージになるなら、本望です。

アルバムの中で他とは少し異なる温度感というか、光を放っていますよね。だからこの曲はグッときます。  

TAKURO
歌入れの時も、TERUと二人で少しナーバスになったりして、だからあまりライヴではやらなそうな気がする(笑)。聴く方も演る方もしんどいですもん。

3曲目のHISASHIさん曲『My name is DATURA』は、組曲のような構成が不思議な感覚を感じさせてくれ、厚みを作りだしています。

TAKURO
これはアルバムの中で一番好きかも。メロディと歌詞をもらって、HISASHIに「やりたいことがある」と言って、構成は任せてもらって、真ん中の、激しく展開が変わっていく感じを作り、本当にロックバンドがライヴ映えするような、楽器陣の腕が鳴るようなフレーズがたくさん入っています。この曲のテーマというか、HISASHIが持っている世界って、いわゆるバンドサウンドとすごく親和性が高くて、何をやっても全部うまくまとまってしまうので、だったら最後にダメ押しでストリングスをつけようと思いました。ドイツとかロシアのインディーズ映画のような世界観、ドラマティックにしてみようと。でもHISASHIはこんな大曲になると思っていなかったみたいで、「君のギターが一番生きるのは、こういう時じゃないか」と、俺に無理難題を渡されて、あとはよろしくっていう感じでした(笑)。だから色々な楽器を取り出してきて、頑張っていました(笑)。やっぱりバンドであることのひとつの意義って、歌とかメロディというポップスとしての定石みたいなものは大事だけど、さっき言ったGLAYに求めているものを考えた時に、やっぱり4人のここにしかない個性、ここでしか咲けないもの、ここでしか咲かない花みたいなものが、多分あるんだろうなって。だから昔から、ギターソロが長過ぎるとか言われたり、どんなに間奏が長くても、GLAYはそこで間延びしたり、退屈させたことはないという自負もあって、これをマックスまで挑んだのが、この曲です。

メロディは歌謡曲の匂いが漂ってきますよね。

TAKURO
HISASHIがインスト曲とか書くと、EDMっぽい感じになって、そこに詞と曲が乗ると、すごく昔の感じがするというか(笑)、でもそれはGLAYでやりたいことがそういうものなんですよね。今っぽいやつっていったら、それはそれでできてしまうんだけど、本当にやりたいこととなると、やっぱりこうなると思う。それはGLAYだと許されるし、惰性とかかっこ悪いとか、特に基準がないから。やっぱり他の人との仕事の時は、明確にいわゆる現代というものを、どうしても意識しなければいけないけど、GLAYってタイムレスなところがあるから、5年前のメロディを今のものにくっ付けたって、別にいいじゃんみたいな感覚はあります。

その話の流れでいくと、『Flowers Gone』は、TAKUROさんが詞・曲を手がけていますが、19歳の頃に作った曲だとお聞きしました。それを今の時代に陽の目を当ててやろうとと思った理由を教えて下さい。

TAKURO
そうなんです。僕らがインディーズの頃からあった曲で、歌詞は、一部英語の部分は修正しましたが、ほぼ当時のままです。当時配ってたプロモーション用のカセットに入っていた曲です。これもさっき言ったように、平成と共に活動を始めたバンドなので、今のGLAYって究極をいうと、歌詞とかメロディとかアレンジとか、そういうのを超越して、とにかく4人で奏でれば、なんでもいけるんじゃねえかっていう考え方の元、今回提示しました。あとは、こんなアホな曲はもう書けないというか、強すぎる自意識というか、それが間違った形で歌詞になるような、そういう曲って大人になったら絶対書けないので、かつては自分たちはこうだったということが、バンドにとって刺激になるというか、新鮮なんです。アレンジはHISASHIが今風にしてくれましたが、イントロから最後まで、当時のまんまです。『REVIEW(※19)』というアルバムが、おかげ様ですごく売れて、あれって実は普通のベスト盤ではなくて、「それまでの3年間のシングルだけじゃない、俺たちにはこういった面もあるんだ、ロックバンドじゃないって言われてるけど、俺たちはロックが好きなんだ!」という意志を明確に打ち出した作品でした。それこそ『Flowers Gone』と同じくらいの頃に書いた曲を入れて、「GLAYって『HOWEVER(※20)』とか、そういうのだけじゃないのね」っていう風に認知されるというのが、バンドにとってはとても健康的なので、やっぱり自分たちのこういった面というのは、アルバムの中にこそ存在すると思います。

個人的に『氷の翼』が、するめソングというか、冒頭のストリングスと、TERUさんの高い声、イントロのギターからその世界に引き込まれ、転調でさらに抜けられなくなりました。トランペットも効いています。

TAKURO
これの仮タイトルが「汚れてもなおさら」だったんですけど、映画の主題歌にならなかったら、そのままいってました(笑)。これはソロで『Journey without a map(※21)』というアルバムを2枚作ったから広がった人脈、広がった世界なんじゃないかなと。サビで3回転調するんですけど、TERUは平気で歌っちゃうんですよね。これも割り切れないもの、 それこそ世の中の正しいとされる恋ではないけれど、人間なので、汚れながら生きてるので、汚れないで生きられないよねっという感じです。

『誰もが特別だった頃』は、フィリ―ソウルのような壮大で、キラキラしたイントロが印象的です。

TAKURO
これは俺たちが10代だった頃、邦楽のキラキラ感が飛び交っていた80年代のイメージです。JIROは洋楽が好きで、その頃の邦楽をあまり知らないから、ひとつずつ説明して、最後はなんでもいいから面白がって、新鮮に捉えてくれたみたいですよ(笑)。

「根雪」という言葉は、北海道では普通に使う言葉なんですか?<根雪はまだ停車場に>という歌詞が気になって。

TAKURO
俺たちの中では普通ですけど、東京だと雪が積もってもすぐなくなってしまいますよね。この歌詞は、一枚の写真のような風景で、3月の高校を卒業して、大学なり就職なり、自分の生き方に迷うような、そんな自分たちの小説的な部分がかなり写し出されていると思う。

ところどころに出てくる「」内の、心の中の言葉が印象的です。

TAKURO
あの頃は本当によく哲学的というか、答えのないものに対してよくもあんな飽 きずに追い求めていたと思うし、今は答えがないってわかるけど、当時はわからなかった。

『あゝ、無常』もTAKUROさんの詞・曲で、一人の男の弱い部分にスポットを当てた歌詞が、切ないですね。頭のTERUさんの雄叫びが、“無常観”を感じます。  

TAKURO
これは桑田佳祐さんの『孤独の太陽』(※22)のようなイメージで、アコースティックな感じというか、今だから書ける曲だと思う。弱いところとかって歌にしやすいんですよね。自分の弱い部分とか隠してる部分って、どんどん言葉が出てきます。

焚火やキャンプファイアーで、火を見ながらだと普段言えないことが言えるような……。

TAKURO
実際キャンプファイヤーで、アコギ一本で弾けちゃうようなシンプルな曲なので、それをみんなでワイワイと歌うイメージはあります。『孤独の太陽』に代表される日本のフォークロックというか、これは日本語あってのメロディどうこうではない、歌い手と言葉あっての曲ですね。

最新シングル『JUST FINE』についても聞かせてください。

TAKURO
これはギターロックに対するオマージュというか、とにかく俺達はスタジオ入って演奏してる時が一番楽しいんですけど、その感じが出ていると思います。お客さんの前だと、お互いの思いも伝わるし、お金をもらってる以上楽しませなきゃいけないとか、どうしても仕事としての責任感が出るけど、スタジオで皆で演奏している時が、底抜けに楽しい(笑)。めっちゃ適当で、TERUが急に思いついたことをやってみたりとか、アレンジを途中でめちゃめちゃ変えたりとか、本番までになんとかなるからやってられるんだろうけど、思いつきでどんどんうねっていく感じが、バンドって本当にいいなって思う。やっぱりソロシンガーだと、そこまで自由度はないと思う。でもGLAYの現場って、何を言っても大丈夫なんですよ。それだったらこの曲も、頭からギターが高らかに鳴っている感じでいきたいなと。

長めの間奏のギターは、ずっと聴いていたいと思いました。

TAKURO
あれは俺とHISASHIのギター愛を感じてもらえればOKで(笑)、ああいうキメをやりたくて、バンドをやってるような気がするんですよ。それが高校時代からバンドをやっていて楽しかったことなので、そういうことをやりたいだけの曲です(笑)。しかもこの曲には歌詞に意味がひとつもないっていう(笑)。でもセブン-イレブンのタイアップだったので、最初の4行は俺なりのセブンイレブンのイメージを書きました(笑)。「ちょっとアッパークラスだけどオンリーワンなんじゃない?」っていう。

TERUさんの『はじまりのうた(※23)』(『ダイヤのA』主題歌)は、“名曲”という言葉が似合う曲です。

TAKURO
このシリーズは4作目なので、世界にばっちりハマったんでしょうね。主人公の成長というか、高3で負けたら卒業という時で、そういう他者への配慮を感じられる大人になった主人公が、大人の苦味を知る寸前の儚さみたいなものが描かれていると思います。彼自身も球児だったので、気持ちが良くわかると思うし、サビの声の異常な高さというのは、彼が今後目指すところの発声を、色々試してみての結果だと思います。この期に及んで、自分を追い詰めるようなメロディを自分で作ってくるんだって思いながら、もっと楽に歌える曲でもよかっただろうと思いますけど、ここまでトップの音が続くのを欲しているんだなって。もちろん『COLORS』もそうだと思いますけど、何かを見つけたんだと思います。

後半はシングルが並んでいて、どんどんドラマティックになっていきます。

TAKURO
シングルはメロディとかがキャッチーだからシングルになるんだろうけど、このアルバムに入った時は、それをあまり感じなかったんですよね。結果的にシングルが並ぶ曲順になってはいますが、M8 からの流れはすごくいいなと思っています。このアルバムが、この方向になったのは、やっぱり『あなたといきてゆく』の影響が大きいと思う。久しぶりに自分が本当に歌いたいというか、自分の心の奥底から湧き出るような曲ができたな、と。やっぱりこういう歌を照れずに歌えるバンドでありたいなと思います。

この曲と『COLORS』と、“王道”と呼ぶにふさわしい曲が続いています。

TAKURO
そうですね。それこそ、その2つはビートルズにおける『ストロベリー・フィールズ』と『ペニーレーン』(※24)みたいなものだと思っています。

配信シングルの『元号』は、TERUさんのヴォーカルが、すごく生々しい感じで伝わってきます。

TAKURO
本人もそういう風に仕上げたいと思っていたようです。あまりきれいにしないで、思いがダイレクトに伝わるような感じで、最後のシャウトが、この歌の全てだと思う。新しい元号の下でって思いが、溢れ出ていると思う。

確かにアルバムの最後に、TERUさんの生々しい歌と、シャウトを通して、希望を感じさせてくれるし、これからもGLAYはGLAYのままやっていくんだという心の叫びが、伝わってきます。  

TAKURO
運よくバンドも解散せずに、平成を駆け抜けて新しい時代になって、それでもまだ続けることを選ぶどころか、さらに音楽に対する情熱を感じています。毎回、ツアーに出るにあたっては、高校時代のように小さなスタジオでワイワイやりながら、だんだんみんなの顔付きになっていって、そこで旅に出て新しい曲、今の時代を描いた曲を、今の時代の人たちと一緒にわけ合ってきました。そこで何かしら自分たちの曲の中に秘められた、赤塚不二夫風にいうと「これでいいのだ」という感覚を求めてきました。誰もがみんな不安の中で、音楽を通じて「これでいいんだ」って思うことでしか、生きていけないんじゃないかと。考えてもわからないんだから、俺はこれでいいんだ、それは言葉を変えると覚悟ということかもしれないけど、そういう大人の嗜み的な覚悟が見えるアルバムになればといいなと思います。

文・田中久勝
※1:GLAY DEMOCRACY
25周年に際して掲げられたテーマ。ファンと共に作り上げるアニバーサリーイヤーとして名付けた。「バンドって民主主義だと思う。」と謳い、世界各国から叶えたい公約を募集し、GLAYは7つの公約を発表。その後、公約であるフリーライブを実現した。これからも公約の実現に向けて企画を続けていく。
※2:「NO DEMOCRACY」
2019年10月2日に発売した、オリジナルアルバムとしては前作から約2年ぶり15枚目のアルバム。「言葉にこだわった作品」となっている。
※3:クロムクロ
2016年4月~9月放送のテレビアニメ。HISASHI作詞・作曲の楽曲「デストピア」「超音速ディスティニー」が主題歌。
※4:ダイヤのA
『週刊少年マガジン』にて連載中の寺嶋裕二による高校野球をテーマにしたコミック。2013年10月6日よりテレビ東京系列にてアニメ作品もオンエア。第3期2クール目から「流星のHOWL」がオープニングテーマとしてオンエアされている。(2019.10.15現在放送中)。 アニメ『ダイヤのA』公式サイトはこちら:https://diaace.com/index.html
※5:「SUMMERDELICS」
GLAYにとって14枚目のオリジナルアルバム。2017年7月12日リリース。7月24日付けオリコン週間CDアルバムランキングで1位を獲得した。
※6:「Lifetime」
『SUMMERDELICS』収録。JIRO作詞・作曲による楽曲。
※7:「COLORS」
2019年7月2日発売の、通算57作目のシングル「G4・V」収録曲。2019年10月2日発売のアルバム「NO DEMOCRACY」にも収録されている。TERU作詞・作曲の珠玉のミディアムバラードで、『劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』の主題歌となっている。
※8:『劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』
2019年6月12日に公開されたファイナルファンタジーシリーズを題材にした映画。GLAYの「the other end of the globe」が主題歌に抜擢されたドラマの劇場版となっている。
※9:「SOUL LOVE」
アルバム「pure soul」収録曲。1998年4月に発売されたGLAYの14作目のシングル。「誘惑」との同時発売で、両シングルで2週連続で1位2位を独占した。
※10:「G4・Ⅴ」
2019年7月2日に発売の通算57作目のシングル。「JUST FINE」「はじまりのうた」「COLORS」「YOUR SONG」の4曲が収録されている。
※11:「愁いのPrisoner」
2018年11月14日(水)発売のGLAYの56thシングル収録曲。TAKUROが作詞作曲を担当し、大手コンビニチェーン「セブン-イレブン」のタイアップ曲になっている。
※12:亀田(誠治)
日本のミュージシャン、音楽プロデューサー、ベーシスト。バンド・東京事変の元メンバー。数多くのミュージシャン/アーティストのプロデュース、編曲、楽曲提供を手がけている。GLAYは2006年の夢人島FESでプロデュースをオファー、2013年7月24日発売の「DARK RIVER」で実現した。
※13:HEAVY GAUGE TOUR
20年の時を超え、GLAYを代表するアルバム「HEAVY GAUGE」の名を冠した、新元号初の全国ホールツアー。2019年5月12日(日)静岡市民文化会館大ホールを皮切りに、全国12都市・20公演開催された。
※14:「Savile Row~サヴィルロウ三番地~」
1999年10月20日発売のアルバム「HEAVY GAUGE」収録曲。曲名にあるサヴィル ロウ3番地とは、ビートルズが最後のライヴコンサート『ルーフトップ・コンサート』を行った場所の住所である。
※15:「HEAVY GAUGE」
1999年10月20日に発売された5thアルバム。20年の時を経て、2019年5月8日には「HEAVY GAUGE Anthology」が発売された。
※16:ユーミンとサザン
ユーミンは日本のシンガーソングライターである松任谷由実の愛称。サザンは日本のロックバンド・サザンオールスターズの略称。
※17『「SHUTTER SPEEDS」のテーマ』
1996年11月18日発売3rd アルバム『BELOVED』に収録。ベースソロ、歌いだしなどJIROを大きくフィーチャーした曲で、ライブでの人気は絶大。
※18:SUGIZO(LUNA SEA/X JAPAN)
人気ロックバンドLUNA SEAとX JAPANのギタリスト。他に、YOSHIKIとのユニットVioletUKのギターやソロ活動、YouTubeチャンネル運営、音楽以外にもチャリティ活動など幅広く活動している。
※19:「REVIEW」
1997年10月1日にリリースされたベストアルバム「REVIEW-BEST OF GLAY」。415万枚の売上を達成し、当時の日本記録を樹立。1999年にはギネスブックに「日本で最も売れたアルバム」として掲載された。
※20:「HOWEVER」
1997年8月6日リリース、12thシングルにしてGLAYにとっては初のミリオンセラーとなった代表曲。
※21:「Journey without a map」
GLAYのギタリストであり、メインコンポーザーを務め、リーダーでもあるTAKUROによる1stソロアルバム。B'z松本孝弘氏をプロデューサーに迎え、ブルースやジャズを基調としながらTAKUROの繊細かつ叙情的なギターサウンドで奏でられたインストゥルメンタル・アルバム。
※22:桑田佳祐さんの「孤独の太陽」
1994年9月23日に発売した桑田佳祐の2枚目のオリジナルアルバム。同作の10曲目に収録された楽曲のタイトルでもある。2001年6月25日にリマスタリング盤が発売された。
※23:「はじまりのうた」
2019年7月2日発売の、通算57作目のシングル「G4・V」収録曲。2019年10月2日発売のアルバム「NO DEMOCRACY」にも収録されている。TVアニメ「ダイヤのA act Ⅱ」オープニングテーマとなっている。
※24:「ストロベリー・フィールズ」「ペニーレーン」
1967年2月にビートルズが発表した14枚目のオリジナルシングル曲。両A面となっており、「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」と「ペニー・レイン」が収録されている。

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