Vol.3 TAKURO WEBインタビュー
―― 去年は15周年でしたけど、今振り返るとどんな1年でした?
TAKURO(以下T):
去年1年間は、所謂大感謝祭だったからライヴが多かったですよね。その合間合間にレコーディングもしていました。ライヴは楽しくやれていたんですけど、次のアルバムに向けては腹がまだ括れていなかったです。それはいろいろな理由によるんですけど……。例えば、次のアルバムは10枚目となる。節目的な意味を持つから、GLAYとして良いものにしなければいけないなと。ソングライティングの時点でも完成度を高めていきたかった。あと、音楽業界の劇的な変化を感じていた部分もありました。"本当に自分達が今、音楽とじっくり向き合える環境って、何なんだろう?""どういう形がメンバーにとって居心地が良いものなんだろうか?"ってことを考えながらの15周年が去年だったんですよね。1回立ち止まりたい気持ちがありました。去年は2つのベスト・アルバム『THE GREAT VACATION VOL.1&VOL.2』に新曲を入れましたけど、オリジナルアルバムとしてまとめるには至らなかった。その理由の一つは、環境が整っていなかったっていうのが、やっぱり大きかったんだと思います。
- ――
- 自主レーベルloversoul music & associatesが先日立ち上がりましたけど、まさにそれは今後のGLAYの活動のための環境作りの一つということですか?
- T:
- そうですね。今後、世の中がどういう動きになろうが、ミュージシャンができることってそんなにないんですよ。バンドにできることって、"集まって音を出す""聴きたい人がいる町へ行って演奏する""良い曲ができたらレコーディングする"。それって1940年代とかから変わらないことなんでしょうね。そういうことを俺達は90年代、00年代に忘れていたのかもしれない。昔はデビューすることが最大の目標だったり。デビュー後もレコード会社の契約に必死しがみついていたところはあった。でも、そうなっていた理由はたった一つ。俺達に知恵がなかったんですよ。自分達の作った曲をCDにして、それを宣伝の人が宣伝し、会社がお金をかけて全国に流通させ……ってことは、本当はアマチュアの頃にやっていたビラ配りとか、デモテープ作りとかが拡大したものなんだけど、"デビューしないと自分達の音楽ができない!"みたいな考えになってしまっていたところはあったと思います。でも今は、GLAYは契約があろうがなかろうがこの4人でやっていくだろうし、この4人でやる音楽はきっと他のどこにもないものだから、それを珍しがって聴きにきてくれる人はいるんだと思うようになった。そんなことを考えていると、物事はすごくシンプルで良いと思えるんですよ。たしかにGLAYはいろんな形で世の中に認められて、記録に挑んで成し得たこともいろいろある。でも、高校時代に集まってワイワイやっていたのと変わらないところもある。"それだったら、自分達は何を取るべきなのか?"ってことを、この2年くらい考えていたんです。レーベルを立ち上げるのももうちょっと先のつもりだったんですけど、不況だ何だというニュースがいろいろ入ってくる。だったら不安がって足踏みしている場合じゃないなと。ここはメンバーとスタッフを信じて漕ぎ出していいかと。そういったこともあってレーベルを始めたんです。
- ――
- 始めてみてどんなことを感じていますか?
- T:
- 本当に気持ちいいですよ。何をやるにしても自分達のお陰だし、自分達のせい。他人のせいにしなくていいんですよね。それってすごくやりがいのあることです。不思議なことに、そういう環境になると音楽作りも一層真剣になるんですよ。雑事で忙しくはなるけど、本来やりたいバンドの時間が楽しくなりますし、夜の曲作りの時間がものすごく貴重なものに思えてくる。他の仕事をしながらバンドをやっている人も、そういう想いを抱いているんでしょうね。ここ5年間くらいの準備期間は、"自分達が本当にやるべきこと、やりたいことは何なのか?"って、喉元にナイフを突き付けられて考えさせられた時期だった気がします。そういう時期を経ると、音楽はどんどん純化していく。こういうことを考えられる時間、考えさせられる出来事があったというのは、ついていたなあって思っています。
- ――
- では、最新シングルのお話に移りましょう。「Precious」は、最初"失恋の曲なのかな?"と聴き始めたんですけど、曲が進むにつれて、妻を失った夫の気持ちを描いた作品であることを感じて、すごく衝撃を受けたんです。今までになかったテーマや視点ですね。
- T:
- この曲の題材は3年くらい前からあって。曲の断片ってことで言うと5年くらい前になるのかな。何度も詞を書き直し、TERUも歌を何度も唄い直しています。去年頂いた「天国の薫 世界で一番キミが好き
」という本なんですよ。GLAYが「Yes, Summerdays」をリリースする時に、『カメリア ダイヤモンド』のCMのタイアップを取るために、一生懸命働いてくださったスタッフの方の家族についての本で。俺のところにその本が手紙と一緒に来て、その手紙には"この本の中にGLAYが出てきますけど、GLAYの名前を使って本を売りたいとかいうことではなく、自分達の夫婦の間にGLAYの曲があったからなんです。それを分かって欲しいです"って書いてあって。それで本を読んでみたら、儚いんだけど、本当に美しい夫婦と家族の本だった。その夫婦は、旦那さんが奥さんに一目惚れして、結婚して、女の子2人を授かって、幸せだったんですね。だけどある時、奥さんが乳がんになってしまう。今後の治療をどうするか夫婦で話し合った時に奥さんは"子供には話したくない"って言うんですね。結局7年半の闘病生活の中で、子供達はお母さんが病気だって知らなかったんです。旦那さんは毎回病院へ付き合って、仕事も頑張る。仕事を頑張る姿が、奥さんにとっての何よりもの励みになるから。その人は広告代理店の社員。で、当時のGLAYのレコード会社から"今度GLAYってバンドを売りたいから、CMのタイアップを取りたいんです"って頼まれて、旦那さんは一生懸命動いてくださる。でも、タイアップが取れたからといって、曲はヒットするものではない。だから奥さんは"今日もGLAYの曲をラジオや有線にリクエストするからね"って旦那さんを送り出すんです。ヒット曲って、そういうことの積み重ねで生れるんですよね。俺達もそんなことはもっと前から知っていなきゃいけなかったんだけど。そのことを自分がちゃんと理解していなかったことが悔しかったし、最後まで諦めずに病気と立ち向かったその夫婦と家族の姿に心を打たれた。それに、そういうことって、自分もいずれ体験することなのかもしれないし、誰もが避けては通れないことだと思った。そして、何よりも自分達を応援してくださった奥さんと旦那さんに鎮魂歌じゃないけど、曲を書くことで自分として何かをしたかった。自分もそういう現実に直面した時にちゃんと振る舞える良い人間、良い夫、良い父親、良い仲間でありたいっていう気持ちもあって、"よし、曲を書こう"って思ったんです。そうなってくると、ロックの範疇とかいうことは、関係なくなってくるんですよね。"誰かの人生を思いっきりミュージシャンとして、作詞家として、作曲家として描いてみたい"っていう想いだけですから。その想いが出てきてからは、この曲はあっという間にこの形になっていきました。今のGLAYじゃないと唄えない、今のGLAYじゃないと背負えない重いテーマなのかもしれない。それぞれのメンバーがそれぞれの人生を通して演奏した時、きっとすごい曲になるに違いないと思っていました。
- ――
- どんなに幸せな夫婦や家族であっても、自然に委ねるならば、どちらかが先に旅立つわけじゃないですか。そういう現実に直面した時、自分はどういられるのか?ということを、すごく考えさせられる曲だと思いました。
- T:
- 100歳同士で死ねるならまだしも、なかなかそういう風にはならない。そういう別れに直面した時、納得というか呑み込むのは難しいですよね。"何で俺なんだろう?""何でわたしが?"っていう気持ちになるだろうし。"この子達を残しては死ねない"って気持ちは、どの親も一緒だろうし。そういったことを5分間なり6分間なりの、ある種のポップ・ソングの中で描きたかった。もう、そういうような歌をGLAYは唄ってもいいんじゃないかと思うし。GLAYのある側面はロック・バンドだし、ライヴ・バンド。TERUはスターとしての部分を持っているのかもしれない。でも、それとはまた別に、俺にとっての彼らは高校時代の仲間だし、友達だし、それぞれが人生を一生懸命生きていることを知っている。そういった人達がこういう曲をプレイしたらどうなるんだろう?っていう興味は尽きないんです。
- ――
- いつか別れが訪れるっていうのは、人間という生き物にとって直面せざるを得ない厳しい現実ですよね。
- T:
- 自分の父親は38歳の時に死んで、俺は38歳を越えて39歳になった。当時の心情は「SAY YOUR DREAM」でも描いたんですけど、どんな人にでも別れってものはある。ある人にとっては高校を卒業して故郷を離れることが別れとなるだろうし、精神的な断絶を経験する人だっている。"出会い"ってラブ・ソングの中では美しい意味で使われることが多い言葉ですけど、その反面、実は残酷な部分も持っている。その出会いが良い側面ばかりを持っているとは限らないから。その賭けにどれだけの人が勝てるのか分からないし、自分がどれだけその賭けに勝てて負けるのかも分からない。でも、それは流されるまま受け入れるしかないことなんですよね。俺もそういう悲しい別れに直面した時に、ちゃんとした男、大人、人間としての立ち振る舞いができるんですかね? そこはドキドキしながら生きていくんだと思います。
- ――
- カップリングの「HEART SNOW~心に降る雪~」はどういう経緯で生れたんですか?
- T:
- この曲は完全に俺の趣味ですね。80年代に俺が聴いていた大瀧詠一さんとか、山下達郎さんとか、坂本龍一さんとかのエッセンスをギュっと詰めた曲です。バンドで言うならばBOØWYじゃなくてREBECCA。ギターはシングル・コイルのピックアップで綺麗な音で刻む感じとか、8小節の中で言葉が少ない感じは、そういう音楽のエッセンスが出ていると思います。俺は元々フォークが好きだから言葉を詰め込みがちなんですけど、この曲はその点がちょっと違いますね。この曲は去年いっぱい働いたご褒美みたいなものです。我儘を言わせてもらいました(笑)。
- ――
- お洒落なサウンドだと思います。
- T:
- 元々はもっとお洒落だったんですよ。イントロのピアノがビリー・ジョエルの「Uptown Girl」みたいな感じで。でも、メンバーからのNGがでまして、もうちょっとロック寄りの曲になりました。彼らのプレイによって、すごく良いものになりましたね。そういえばHISASHIが前に名言を言ったことがあったんですよ。ラジオで軽めのポップスが流れてきたのを聴いて、"こういう曲を書いてきたらお前どうする?"って俺が聞いたら、"お前、いつもだよ!"ってHISASHIが言って。俺が"マジで!? よく我慢してるね"って言ったら"慣れた"と(笑)。その時のメンバーの成長具合や趣味趣向に合わせて、"友達だからじゃあ付き合うわ"ってできて、その一方でミュージシャンとしてのエゴもそれぞれにちゃんとできるところが、GLAYの良さなんだと思います。「HEART SNOW~心に降る雪~」は厳しい冬が表現できている。「Winter, again」とはまた違った、北海道の冬が表現できている曲なのも面白い。雪まつりとか、函館の元町辺りの感じですね。
- ――
- 人間って何かと華やかなものに目が行きがちですけど、"実は本当の幸せは身近にあるんじゃないか?"ってことを描いている曲でもありますよね。
- T:
- 俺の東京観も出ている曲なのかも。想いを馳せるのは故郷の北海道だけど、この曲の主人公は季節を感じられない都会の中にいますね。ビル風なのか北風なのか分からない風を感じていて、忙しさにかまけて本当に大切な身近な人の変化を見逃している。でも、何かが成功するのも素晴らしいことですけど、最後に一緒になって喜んでくれる人がいなければつまらないじゃないですか? だから俺はバンドが好きなんですけどね。この曲を聴くと、そんなことも思います。家族やスタッフと喜びを分かち合うのも尊いですけど、同じステージに立ったメンバーと、大きなイベントが終わった後に喜びを分かち合うのって、本当に幸せですから。そんなことを考えるとバンドじゃなくてソロをやるとか、俺には考えられないんですよね。
- ――
- 今回の「Precious」と「HEART SNOW~心に降る雪~」は、人間同士の繋がりの本当に大切な部分を示す2曲ですね。
- T:
- ここ3年とか5年くらいでGLAYの環境を劇的に変化させて、それにまつわることでいろんな嬉しいことや悔しいことも含めて、自分達の選択、責任でやってきたわけですよ。そういうことを経た今、人の人生を唄いたくなっているのかもしれない。次のアルバム『GLAY』もそうなりそうです。いろんな人の人生があって、そのナレーションとして音を奏でているような。自分達のことばかりでなく、「Precious」のようなある夫婦の話があり、10代の初めての恋愛のことも、仕事のために夢を捨てなきゃいけない人のこととかを描いた曲もあるので。ようやく自分達のことでいっぱいいっぱいだった時期を抜けたんでしょうね。映画で言えば俯瞰のカメラで全体を切り取るようなイメージの曲が出てきています。「Precious」も含め、次のアルバムは、俺の中では98年リリースした『pure soul』の手応えに近い。決して大きな問題ではなく、メンバーそれぞれの日々の暮らしの中から生まれたアルバム。日々あること、これから起こり得ることを丁寧に描けたアルバムになると思います。今度のアルバムはすごく気に入っています。何回聴いても同じところで泣いたり、同じところで笑ったりできます。
- ――
- 今回、4曲目にアルバムのダイジェストが入りますし、それを聴きつつ、ファンのみなさんには期待して待って頂く形ですね。
- T:
- 10枚目のアルバムとして、これ以上にふさわしいものはないですよ。これでダメだったら、"もう知らない! 君達とは気が合いません!"っていう感じ(笑)。
- ――
- (笑)このシングルは3曲目に「彼女の"Modern…"」の再録ヴァージョンが入っているのも、堪らないポイントです。
- T:
- 去年のベスト・アルバムのための再録シリーズで5、6曲録ったんですけど、その内の1曲がこれです。この曲を作ったのは19歳くらいの時。朝の8時から夕方の5時まで、朝霞の市役所の前を警備する仕事をしていました。誰も来ない時は何があるってわけではない仕事なんですよ。ちょっと掃除したり、見周りするくらいなもので。時間は山ほどあった。この曲はそんな中で、イントロからエンディングまで頭の中で作ったんです。当時は携帯もICレコーダーもなかったので、昼休みに電話ボックスへ行って、当時住んでいたアパートに電話して、留守番電話に吹き込みました。頭の"ダララララ~"のところから(笑)。この曲をやると、あの頃のことを思い出します。この曲で盛り上がることによって、GLAYはライヴ・バンドとしての自信をつけたんですよね。東京へ来てから暫くは生活もバンドも上手くいかなくて、すさんだ暗い曲が多くなっていたんですけど、この曲ができた頃からみんなの気持ちも上向きになってきました。東京のこともライヴハウスのことも分かってきたし。そこからGLAYは徐々にチャンスを掴んでいったんです。
- ――
- これ、3rdシングルですけど、94年のリリースだから、結構な歴史がありますよね。
- T:
- 当時って3枚目のシングルでブレイクしないとダメっていう感じの風潮があったんですけど、このシングルはコケたんですよ。ヘコんだなあ(笑)。
- ――
- めちゃくちゃカッコイイ曲なんですけどね(笑)。
- T:
- 当時の本人達も自信がありました。高校時代から憧れていたDEAD ENDの湊雅史さんをゲストお迎えして最高のドラムを叩いて頂いて、"これで俺達は世に出るんだ!"って思っていたのに……。時代はまだまだ俺達を必要としていなかったみたいです(笑)。
- ――
- (笑)では、ニュー・シングルのお話はここまでにして、ファンのみなさんのために、柔らかめな質問もいくつかさせて頂いて良いですか?
- T:
- 何でも来いですよ(笑)。
- ――
- では、ものすごく柔らかいところで……最近ハマっていることは?
- T:
- ギターの練習! 最近、教則本を買ったんですよ。ドレミファソラシドからスケールの練習をするような教則本で。ライヴで会館に入ったら、1時間くらいドレミファソラシドをやりますね。"小指って意外と今まで誤魔化して弾いてたな"とか、いろんな発見があるんですよ。あと、ハマっているのはトレーニング。エクササイズですね。勉強にもハマっています。英語の勉強です。12時から13時までギターの練習をして、13時から14時まで英語の勉強をして、15時から16時までジムやって。そこからリハーサルやって、ライヴやって、飲んで。俺の1日はこれで終わります。
- ――
- 規則正しいですね。
- T:
- 全くこの動きですよ。地味だなあ~。本当はハマっていることを訊かれたら"シャワーの取っ手集めに凝っているんですよ"とか答えられたら盛り上がるんだろうけど(笑)。
- ――
- (笑)英語の勉強って、どんなことをやっているんですか?
- T:
- ハリウッド・スターのインタヴュー集とか。話を聴けば、俺と仕事の世界が近いから、共通項で分かりやすかったりするんですよ。新聞に載っている受験の問題をやることもありますし、『アメリカンジョーク50』って感じのものもやるし(笑)。英語が終わったらアミノ酸を飲んでバーベルを上げて……ってやっている内にリハーサルになるという。
- ――
- すごいロック・スター像ですね(笑)。
- T:
- "ギター,勉強,トレーニング"(笑)。ロックの典型的なイメージの"セックス,ドラッグ,ロックンロール"と全然違う(笑)。
- ――
- それで1曲作れそうですね(笑)。
- T:
- 「練習,勉強,運動」(笑)。
- ――
- (笑)今後トライしたいことはありますか?
- T:
- あっ、さっきの質問と繋がるんですけど、俺、焚き火が好きなんですよ。去年、TVとかでよく話していたことですが。焚き火は何ヶ月かに1度のことですけどね。神奈川にGLAYのスタジオがあるんですけど、そこの庭で焚き火をするのが好き。1年に3回くらいなのかな。でも、その3回があるのとないのとでは、全然違うんです。薪をくべながら、5時間くらいひたすら無心になれるんですよ。で、それがさらに盛り上がって、キャンプも好きになったんですよね。バンガローを借りてやるのも好きだし、テントを張ってキャンプをするのも好き。今後は時間をみつけて、キャンプに行きたいですね。あと、ツアー中とかは怪我が怖いので乗らないんですけど、友人にハーレーを譲ってもらったので、それに荷物を積んでキャンプに行きたいですね。1人で行きたい。できればグランドキャニオンの方へ行きたい。映画監督の知り合いが、この前食事をした時に、グランドキャニオンに行って、テントを張って人生を見つめ直したって話を聞かせてくれたんです。それは男として羨ましいぞと思いました。俺も前々からやりたかったことなので。あと、ルート66をハーレーで走りたいな。もうルート66はないけど、その元の道を走りたい。そういったアウトドアなことをやりたいな。JIROがTHE PREDATORSをやっている間とか。そんな時間はないのかな? やれればいいなあ。夢というか目標です(笑)。
- ――
- 20年近く音楽をやってきたわけですけど、作曲の変化は何か感じていますか?
- T:
- 3年くらいのタームで好きなコード進行が変化するんですよ。それはよくあるものであれ、独特なものであれなんですけど。それを使いつつ、納得いくまで似たような曲を作り続けるんですよね。発表されるのはその内の10分の1にも満たないですけど。そういう意味でも、そろそろ1つの時代が終わって、「Precious」に代表されるようなものになっていってますね。具体的に言うと、"転調しているようには感じさせないんだけど、TERUの声に合わせてちゃんと綺麗に転調している"っていうような曲作り。あと、なるべくシーンが浮かぶような歌詞作りは、最近凝っていますね。
- ――
- メンバー3人に関して、変化していると思うことは何かありますか?
- T:
- HISASHIとはよく喧嘩するんですよね。ささいなことで(笑)。彼が話している時に俺が口を挟んで怒られたり。"黙ってろ!"と言われて"このやろう!"と(笑)。今のツアーは、俺とHISASHIとの間は"ばかやろう!""このやろう!"しか言っていない感じ(笑)。一時は丸くなりかけたHISASHIですが、ファンのみなさん、安心してください。彼は今尖っています(笑)。彼はずっとロック・キッズでいてくれることでしょう。
- ――
- JIROさんは?
- T:
- 彼はリズム隊としても人としてもバンドをガッシリ見てくれていますね。GLAYってやっぱり面白い構造なんですよ。俺とTERUとHISAHIは同級生で、高校時代から遊んでいた仲間だから、悪ノリするとどこまでも行っちゃうんですよ。それを止めるのが昔からJIROの役割なんですけど、それは今でも変わってなくて。今の方が彼の役割が重要になってきているかもしれない。俺達はすぐに調子に乗って悪ノリするから。そこで冷水を浴びせて俺達を冷静にするのがJIROです。バンドを転がすっていうことに関して、一番相談する存在がJIROですね。その頻度は年々上がっています。
- ――
- TERUさんの変化は?
- T:
- シンガーとしての姿勢がどんどんストイックになっているんですよね。"今日終わってもいい!"っていうくらいのライヴをやるんです。ロック・ヴォーカリストとしては正しい姿勢だと思うけど、彼の夢でもある5年後、10年後もこうやってGLAYで唄い続けるってことに関しては、ちょっと心配。手を抜けということは勿論言いませんが、リーダーの俺としては自分が望んでいる5年後、10年後ってことを見つめて欲しいかな。どう考えているのか、今度ゆっくり訊いてみたいですね。彼のやり方はライヴを観に来てくださった人達にとっては堪らないものだとは思いますけど。まあ、あんまりやり過ぎたら他のメンバーが止めるとは思いますが。でも、そういう意味ではTERUは、今一番乗っているんじゃないですか? カッコイイ。切れ味が鋭いですよ。そこからまた新しいスタイルを見つけてくれたら素晴らしいですね。
- ――
- この先のGLAYは10月にアルバムリリース、11月から来年2月にかけてのアリーナ・ツアーも発表されていますけど、何か他に予告できる動きはありますか?
- T:
- TERUが全国のあちこちのライヴ中にこっちをチラチラ見ながら"EXPOやりてえなあ~"って言うので(笑)、ちょっとスタッフを集めて"さあどうしよう?"って話をしなきゃいけないなあとは思っています。そんなこんなで20周年もすぐにやって来るんでしょうね。20周年までには意外とそんなに時間がないのかもしれない。 "今何がやりたいのか?"って問われるならば、"行ったことがない町でライヴをやりたい!"ってことですね。それはメンバー全員の共通の気持です。今のツアーで初めて下関とか飛騨高山とか行っていますけど、大都市にはない純粋な魂のやり取りみたいなライヴがやれているんですよ。"ずっと聴きたいと思っていた人がいて、やりたい人がいる、"っていう。すごく物事がシンプルで良いですね。"ノリが悪いと思われたくないから、俺達が盛り上げてやるぜ!"っていう気持ちがお客さんから伝わってきますし。独特なものがありますよ。EXPOとか20周年の大きなツアーのことを考えながらも、今まで行ったことのない町、行ったことのある場所にもまた戻る。そんなことをやっていきたいと思っています。今はやる気満々なんですよ。曲もいっぱい浮かぶし。だから今言えるのは、"来年も再来年も真面目に音楽をやります!"ってことですね(笑)。
